【南部九州総体取材班】全国高校総合体育大会「感動は無限大 南部九州総体 2019」は19日、沖縄県那覇市の県立奥武山水泳プールで水球男子の準々決勝を行った。那覇西は埼玉栄と対戦、延長戦で8―8の互いに譲らない好ゲームとなったが、ペナルティースロー戦は2―4となり、10―12で惜敗した。
仲本虎次郎がエースの意地を見せた。第4ピリオド、5―8で残り4分25秒。タイム中に永井敦監督からの「守らないでいいから攻めてこい」と指示が出た。司令塔は「自分が決める」とポイントゲッターになる覚悟を決めた。仲間も「仲本ならやれる」と託す。チームの気持ちが一つになった瞬間から、怒濤(どとう)の追い上げが始まった。
素早い連係から相手ゴール前の仲本にボールを送ると、ペナルティーファウルを誘い2点差。GK森永凌和のセーブからロングパスで再び仲本が右サイドへ。守備に張り付かれながらもループシュートを決めて1点差。完全に潮目が変わった。
「当たれー」。永井監督の大声に那覇西は守備も締まり、攻撃展開が早くなる。金城俊祐からロングパスを受けた大場龍希が相手のペナルティーファウルを誘発し、仲本が残り40秒で同点弾を決めた。終盤の3連続得点に「あのすごさ、びびりました」と2年の伊波盛能。観客を魅了する「ワクワクさせる水球」を身上とする那覇西の本領発揮だった。
ペナルティースロー戦は砂邊晃匡、瀬名波匠が外してしまい惜敗。砂邊は「自分から流れをつくるはずだったけど、相手GKの方向に投げてしまった」と悔しさでいっぱいだった。
今夏で競技を離れる川邊崇斗を「試合に出せなかった」と悔やむ仲本。だが、川邊は「ベンチから見てても全員が120パーセントの力を出していた」と涙を流しつつ仲間の大健闘をたたえた。
全国総体4強の壁は今年も越えられなかった。300人近い応援団の期待を一身に背負った仲本は「とにかく勝ちたかった」と涙をぬぐう。残り8秒で最後のシュートを止められた場面がよみがえり「決めていれば、20日まで皆と試合ができたのに」と夏の終わりを惜しんだ。
立ち止まる間もなく、次の国体へ切り替えないといけない。「泣いて終わるのではなく、笑って終わりたい。国体では本当に4強を取る」と、リベンジに燃えていた。
(嘉陽拓也)
(沖縄県奥武山公園プール)
▽男子準々決勝
埼玉栄 8 3―1 8 那覇西
(埼玉) 0―1
3―2
2―4
(PS 4―2)