高校生、地元開催の意地見せる なぎなたは全種目制覇 男子ソフトボールは32年ぶりV 来年の総体に向け必要なことは…


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 沖縄、鹿児島、熊本、宮崎、和歌山各県を開催地として行われた全国高校総合体育大会「感動は無限大 南部九州総体 2019」が20日、閉幕した。10年の美ら島総体以来、9年ぶりに会場となった県内では8競技10種目が行われた。県立武道館でのなぎなたは県勢として初めて団体試合、個人試合、演技の3種目全てを制覇し、地元開催に花を添えた。台風の影響で日程が短縮されたソフトボール男子の読谷は、4校同時優勝を果たし、県勢として32年ぶりの栄冠を勝ち取った。多くの熱戦を繰り広げた今大会を振り返る。

高校総体なぎなたで活躍した首里、知念、沖縄尚学3校の選手ら=12日、那覇市の県立武道館

■圧巻の“お家芸”

 沖縄の“お家芸”と言えるなぎなたは、団体試合決勝で全国総体初の同一県勢対決が行われ、首里が知念に勝利し、2連覇を成し遂げた。首里の山城り子は個人試合も制し、2冠を達成。演技では新川珠羽・上江洲誉(知念)が優勝を果たし、開催県による3種目制覇という史上初の快挙となった。県勢は強豪としてマークされる中、出場選手全員が入賞に関わり、地元開催という重圧を見事にはねのけた。

初優勝を喜ぶ男子ソフトボール読谷の選手ら=9日、宮崎県のお倉ヶ浜総合公園運動広場(喜屋武研伍撮影)

■団体種目で健闘

 団体種目で県勢の健闘が目立った。団体トップで登場した女子バレーボールの首里が初出場ながら県勢女子として4年ぶりの予選突破を果たし、いい流れを引き寄せた。ソフトボール男子の読谷は攻守に安定した力を見せ、4校同時優勝を飾った。ハンドボールの男子興南と女子那覇西は共に3位入賞し、女子バスケットボールの西原は県勢女子として23年ぶりの8強入り。男子水球の那覇西は準々決勝で強豪相手に延長までもつれ込む熱戦を繰り広げた。各競技とも高身長など体格に優れる全国の強豪に対し、沖縄らしい素早い動きや粘りのプレーで挑んでいった。

■地元開催の意地

 県内開催となった8競技10種目では、地元の意地を見せ付けた。重量挙げでは男子96キロ級の比嘉力(本部)は準優勝、102キロ超級の山田俊輔(沖縄工)が4位。空手道は男子形個人の川村真太郎(浦添)と女子形個人の佐和田莉乃(同)が共に5位。昨年の東海総体で入賞ゼロに終わった陸上では、女子走り高跳びの岸本志恵(中部商)が5位、男子走り幅跳びの小川脩平(同)は7位に入り、男子ハンマー投げでは宮城貫太(同)が6位と三つの入賞が生まれた。選手以外も多くの県内高校生が運営に関わり、県外の選手、監督からは「沖縄の生徒たちは心から歓迎してくれている」との声も聞かれた。

 好成績を残した競技がある一方で、上位入賞が見込まれた選手が厳しい結果に終わることもあった。お家芸の重量挙げでは優勝はなく、空手道は表彰台に上がれなかった。屋外競技では猛暑や雨天でコンディションを整えられないケースもあり、全国で結果を残す難しさを改めて突きつけられた。来年の全国総体は東京オリンピック・パラリンピックの開催により、全国各地での分散開催となる。前例のない開催方式だが、選手が競技に打ち込める環境づくりが求められる。今大会で優勝や入賞を経験した選手の中には1、2年生も多くいた。来年に向け、県高体連だけではなく、県中体連や県体協などとも連携を深めながら、選手を強化していくことが重要になる。
 (南部九州総体取材班)


南部九州総体の県勢入賞一覧(重量挙げはトータルのみ)
 競技・種目名(開催地)       学校・個人名      結果
 なぎなた団体試合(沖縄)      首里          優勝
                   知念          準優勝
 なぎなた個人試合(沖縄)      山城り子(首里)    優勝
                   玉村純鈴(沖縄尚学)  3位
                   城間桂(首里)     5位
                   上江洲誉(知念)    5位
 なぎなた個人演技(沖縄)      新川珠羽・上江洲誉(知念) 優勝
                   富川真緒・宮城昭奈(首里) 3位
                   兼次七実・山田望来(知念) 5位
 ソフトボール男子(宮崎)      読谷          優勝(4校同時)
 重量挙げ男子96キロ級(沖縄)   比嘉力(本部)     準優勝
 重量挙げ男子102キロ超級(沖縄) 山田俊輔(沖縄工)   4位
 重量挙げ男子61キロ級(沖縄)   砂川裕哉(豊見城)   7位
 重量挙げ男子89キロ級(沖縄)   島袋泰洲(沖縄水産)  7位
 重量挙げ男子67キロ級(沖縄)   長嶺匠吾(南部工)   8位
 重量挙げ男子102キロ級(沖縄)  棚原幹勝(沖縄工)   8位
 ハンドボール男子(熊本)      興南          3位
 ハンドボール女子(熊本)      那覇西         3位
 柔道男子90キロ級(鹿児島)    山里健太(沖縄尚学)  3位
 柔道男子60キロ級(鹿児島)    糸数未来斗(沖縄尚学) 5位
 柔道女子48キロ級(鹿児島)    宮城杏優菜(沖縄尚学) 5位
 レスリング男子125キロ級(熊本) 渡口妃龍(北部農林)  3位
 弓道女子個人(宮崎)        糸数智恵(興南)    4位
 陸上女子走り高跳び(沖縄)     岸本志恵(中部商)   5位
 陸上男子ハンマー投げ(沖縄)    宮城貫太(中部商)   6位
 陸上男子走幅跳(沖縄)       小川脩平(中部商)   7位
 空手道男子形(沖縄)        川村真太郎(浦添)   5位
 空手道女子形(沖縄)        佐和田莉乃(浦添)   5位
 ボクシングフライ級(宮崎)     比嘉政太(宜野湾)   8強入り
 バスケットボール女子(鹿児島)   西原          8強入り
 水球男子(沖縄)          那覇西         8強入り