沖縄県内の教員らでつくる「おきなわ学びのネットワーク」はこのほど、那覇市古島の興南高校で特別講演会・研修会を開いた。講師はベネッセコーポレーション九州支社の劉耕助(りゅうこうすけ)さんで「教育改革の情報整理」をテーマに講演した。教員ら約45人が参加した。
劉さんは今後の大学入試改革について「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」の3要素の観点から入試改革が進められているとし「これまで指導はしてきたが、評価はされてきていなかった点が問われてくる」と指摘した。
一般入試・AO入試・推薦入試とどの入試でもこれらの3要素が求められるとし「調査書や志願者本人が記載する資料が積極的に活用される」と述べた。
個別試験や面接、論文で「知識・技能」「思考力など」は評価され「主体性・多様性・協働性」は、学校が作成する「調査書」、また志願者が作成する本人の資料や「ポートフォリオ」が活用されるという。
本人が記載する資料とはエッセーや集団討論、プレゼン、各種大会の顕彰記録などで、さらに日々の学習や活動記録などの学習履歴をまとめた「ポートフォリオ」がデジタルの形態で作成・提出するようになると予測している。
実際に大学では合否のボーダーラインにいる学生について、本人の資料で加点する可能性があるとし、今後はこの「学びの蓄積記録」に大学在学中も引き続き取り組むことで「就職活動のエントリーシートの活用にも生かされるだろう。企業にとっても、どのような壁を乗り越えてきたか、この子の強みが分かり、本人と企業のマッチングにもつながる」と今後の可能性についても述べた。
参加した教諭らに向けて、卒業後も社会で活躍できる人となれるように「成長し学び続ける礎をいかに築くかという部分が、今後より重要になってくる」と強調した。
講座の後半は、灘中学・高校(兵庫県)の木村達哉教諭(英語)と、興南中学・高校の伊佐常秀教諭(国語)が講師となり、それぞれ担当教諭らを対象にどのような授業展開が生徒らに有効かについて教科研修を行った。