LGBT(性的少数者)を排除せず誰もが働きやすい職場環境づくりが県内の企業でも始まっている。社員を対象とした勉強会・研修を通じて意識の向上を図るとともに、社内規則の見直しでLGBTに関する新制度を設けるなど、性の多様性を尊重する観点から、さまざまな取り組みが進んでいる。
日本トランスオーシャン航空(JTA、青木紀将社長)は、2016年から同性パートナーともマイレージを分け合えるサービスを始めているほか、LGBTに関する勉強会を開催するなど、性の多様性に関する取り組みにいち早く力を入れてきた。
性の多様性を尊重する行動方針はJTAがある“沖縄発”でJAL本体まで広がった。
JTAがLGBTに向けたサービスを開発したのは、沖縄にはLGBT当事者が多く、県外からも観光で集まることがある。“商機”から始まったが、当時の丸川潔社長らは同時に「社員の中にも当事者がいるかもしれない」と考え、16年にLGBTを含む多様性の重要性について社内外に宣言。パートナーシップ登録をした社員は配偶者と同様の制度を活用できる規則を設け、当事者を招いた勉強会を開いた。
沖縄セルラー電話(湯浅英雄社長)はJTAの呼び掛けでLGBTに関する取り組みを始めた。LGBT研修を全社員必須とし、同性のパートナーも配偶者と認める基準を18年、社内規則に盛り込んだ。
さらに今後、男女別に細かく定められた「服装規定」も大幅に見直し、男女の区別なく「相手に不快感を与えないビジネスにふさわしい格好」にする予定だ。渡具知武之総務部長は「男、女という二つの性しかないという思い込みでつくられた規則だった。社員の自主性を尊重し、誰もが働きやすい環境づくりは必要」と語る。
当事者が働きやすい職場を評価する「プライド指標」ではJTAが16年から3年連続、沖縄セルラーは18年にゴールドを獲得した。社内規則を設けたが両社とも制度利用者はまだいない。JTA広報の下地克実さんは「当事者であると言いやすい職場環境づくりが今後の課題になる」と話した。(田吹遥子、玉城江梨子)