スポーツコンベンションにも暗雲 韓国球団キャンプ中止検討 日韓関係悪化の影響止まらず


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 韓国のプロ野球チーム・三星(サムスン)ライオンズが恩納村での秋季キャンプの中止を検討するなど、県全体で取り組むスポーツコンベンションに日韓関係悪化の影響が及ぶ可能性が出てきた。19年2月に沖縄で春季キャンプを実施した韓国のプロ野球チームは7球団を数える。沖縄をキャンプ地とする国内プロ球団との練習試合のほか、地域経済への貢献や相互交流、沖縄観光の発信にもつながってきた。沖縄に代わるキャンプ地を確保した場合、回帰するかも不透明になってくる。

 冬の冷え込みが厳しい韓国では冬場の沖縄観光に人気がある。だが直近の6カ月連続で沖縄を訪れる韓国人客は減少し、日韓関係の悪化後は団体客のキャンセルも発生している。

 韓国航空6社は沖縄路線の減便・運休を相次いで発表し、9月以降の便数は半分以下になると見込まれる。韓国客の来沖ピークとなる秋から冬に向かうのを前に、県内の観光関係者には先行きへの懸念が深まっている。

 沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の下地芳郎会長は、サムスンライオンズの秋季キャンプ見送りが報じられたことについて「正確な情報を確認したい」と話した。25~27日に訪韓して航空会社などと意見交換していたが、春季キャンプについて確認した際にはキャンセルなどの連絡はないと聞いていたという。下地会長は「球場やホテルなどの施設整備、練習試合をする相手も含めてキャンプ地として沖縄は海外からも非常に高い評価を受けている。関係機関と連携して情報を発信し、受け入れ体制を整えていきたい」と強調した。

出発ロビーに向かう外国人客に黒糖を配り笑顔で見送るミス沖縄2018の末吉古都子さん=29日午後、那覇空港国際ターミナルの出発ロビー

 こうした中でOCVBは29日、那覇空港国際線ターミナルビルで沖縄に到着した外国人客の歓迎や帰国する外国人客の見送りを実施した。8月の「観光月間」は県民の意識啓発が主な活動だったが、日韓関係が悪化し韓国人観光客が減少する中、急きょ外国人観光客と直接触れ合えるイベントを実施した。

 OCVB職員や県ホテル旅館生活衛生同業組合、現役・歴代のミス沖縄らが出発、到着ロビーに分かれて「Welcome to Okinawa」「Thank you See you again」と書かれた横断幕を掲げ、県産黒糖やうちわを配った。ミス沖縄2018の末吉古都子さんは「みんなの充実した笑顔を見ることができてうれしい。精いっぱいの笑顔で見送った」と話した。

 OCVBの受入事業部受入推進課の米谷保彦課長は「外的な要因がある中、われわれは歓迎していることを伝えていきたい。民間の交流を今まで通り行いたい」と話し、冷え込む日韓関係を民間交流で乗り越える姿勢を示した。