「こんなに仲間がいる」「みんな違っていい」 過去最多124団体が支援したLGBTイベント「ピンクドット沖縄2019」が発信したメッセージ


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ステージ上の催しを楽しむピンクドット沖縄2019の参加者=1日、那覇市泉崎の琉球新報社(ジャン松元撮影)

 あなたはあなたのままでいいよ―。過去最多の124の企業や団体が協賛・後援し、那覇市の琉球新報社1階で1日開かれた「ピンクドット沖縄2019」。LGBTなど性的マイノリティー当事者や賛同者ら約3千人が県内外から参加し、音楽ライブやトークイベントを通じて「全ての人が平等に生きられる社会にしよう」「みんな違ってみんないい」とメッセージを発信した。

 官公庁や企業の集まる県都の一角が、ピンク色で華やいだ。シャツ、首飾り、ズボン…。LGBT当事者や賛同者はピンク色のものを身に着けて参加。「あなたと一緒だよ」との思いを共有した。

 会場には21のブースが並び、ボランティア50人も汗を流した。その一人、LGBT当事者で接客業の石嶋和茂さん(31)=浦添市=は初めて参加。声が高く、仕事中、客にからかわれることがよくあるという。「男、女だけでなく、性は多様との理解が広がってほしい」と願った。

 月1回、性的マイノリティーらの交流会を開く市民団体「てぃーだあみ」は、ピンクドット沖縄をきっかけに生まれた。会社員の佐脇広平さん(36)=宜野湾市=は「最初の頃は『LGBTって何?』というレベルだった」とこの間の社会の変化を喜ぶ。「セクシュアリティー(性のあり方)の近い人がつながる場にもなる。今後も大切にしていきたい」と話した。

 バイセクシュアルの当事者(24)=那覇市=も2回目から参加。賛同企業の増加を歓迎しつつ「企業内の取り組みをブースで紹介してほしい。まだまだ性別で仕事の内容が決められる。男、女でなく、個人を見てほしい」と強調した。

 最終盤、参加者全員に風船が配られた。「ピンクドット、OK!」の掛け声で一斉に放つと風船はどんどん上昇し、青空に消えていく。初めて参加したLGBT当事者(21)=宜野湾市=が言った。「こんなに仲間がいるんだ。すごくうれしい」。拍手と共に、たくさんの笑顔が広がった。

<用語>ピンクドット

 ピンク色のものを身に着けて集まり、「LGBTなど性的マイノリティーを含めた全ての人たちがより生きやすい社会を」との思いを共有するイベント。2009年にシンガポールで始まり、カナダ、香港など各地に広がった。日本では13年の沖縄開催が初めてで約800人が参加。来場者は年々増え、14年に約千人、19年は約3千人が訪れた。協賛・後援企業や団体も増え、7回目の今年は過去最多の124団体となった。LGBTを巡る活動は米ニューヨークで1969年6月、性的マイノリティーらと警官隊が衝突し暴動が起き、LGBTの権利擁護運動が広がる契機に。欧米をはじめ世界の主要都市ではLGBTの祭典や集会、「プライドパレード」などが行われる。