新市場水揚げ4700トン想定 泊魚市場糸満移転 荷さばき施設新設


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2022年の開場を予定する新たな糸満漁港のイメージ図(県水産課提供)

 県や県漁業協同組合連合会(県漁連)が進める泊魚市場(那覇市港町)の糸満漁港への移転計画で、県は4日までに糸満漁港整備事業の詳細をまとめた。2020年に着工し、22年の市場開設を目指す。高度衛生管理型荷さばき施設の新設で安心・高品質な水産物を供給するほか、水産物の取扱量を増やして販路拡大につなげる。老朽化が目立つ泊魚市場を移転して、糸満漁港と統合することで機能を強化する。

 泊魚市場と糸満漁港は、荷さばき施設の老朽化や不十分な衛生管理が課題だった。移転事業で新たに整備する漁港では、荷さばき施設に隣接した場所に加工処理施設を設置した。水揚げした水産物の鮮度を維持したまま加工でき、一貫した衛生管理を可能にした。

 市場の統合で糸満漁港の水揚げ量は年間約4700トンになると見込まれる。これまでと比較して約2倍になる。

 水揚げから加工までの作業を一貫して行うことで、出荷までの流れもスムーズになる。糸満漁港は那覇空港や主要消費地の那覇市に近く、水産物の消費拡大や輸出促進につながると期待される。

 22年までに漁港内の施設が完成する予定だが、防風柵など一部の設備は26年ごろまで工事が続くという。県漁港漁場課の担当者は「漁業活動に支障がないように工事を進める」と説明した。

 那覇地区漁協や泊で水揚げをする県近海鮪漁協、那覇市沿岸漁協、伊良部鮪船主組合、睦船主組合、県近海鮪漁業船主協会、浦添宜野湾漁協の7団体は泊で水揚げを続ける。
  (石井恵理菜)