米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリコプターから8月27日、窓が落下した。同機は米軍の回転翼機の中でも飛び抜けて事故が多い機種で、1972年の沖縄の日本復帰以降、計37件の事故を起こしている。窓落下事故を受け、臨時で開かれた県議会米軍基地関係特別委員会では機体の老朽化問題に議論が集中した。
米海兵隊が所有するCH53Eのうち飛行可能なのはわずか37%にとどまる―。渡久地修氏(共産)が米国の保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」が米軍の軍事力を評価した2019年度版の報告書を紹介した。
それによると、大型輸送ヘリは本来200機必要だが、米軍が所有しているのは143機しかない。そのうち飛行できるのは4割に満たないという。財源不足に伴う機体の老朽化と開発の遅れが背景にあることが示唆されている。
実際、CH53Eは1981年から運用が始まり、40年近くが経過している。メンテナンスで持ちこたえているのが現状だ。海兵隊は機能を高めたK型に更新する計画だが、オバマ政権時の国防予算削減などでK型の開発計画が当初より遅れた。
県として認識を問われ、金城典和基地対策統括監は「非常に古い機体」と表現したものの、老朽化しているかどうかについては実際の稼働率を確かめる必要があるとの考え方を示した。
これに対し渡久地氏は沖縄防衛局を訪れた際、局幹部が機体の老朽化を認めたとし「県民の安全を守る立場の県は認識を改める必要がある」と指摘。「老朽化した機体が飛んでいること自体が問題だ。直ちに飛行の禁止を求めるべきだ」と県に踏み込んだ対応を求めた。池田竹州知事公室長は「安全が最優先だ。老朽化している事実があるなら、きちんと対応してもらう必要がある」と述べた。
一方、野党も老朽化問題について追及したが、対応方法については与党とは異なった。照屋守之氏(自民)は「老朽化しているなら、新しい機種に変えるよう求めるべきだ」と主張した。池田公室長は「機種の更新については県民の間にさまざまな意見の相違がある」とした上で「危険性除去のため、飛行場の運用停止を求めている。政府は受け止めて対応してほしい」と強調した。 (明真南斗)