ツマジロクサヨトウ被害 沖縄で5市町村目 拡大防ぐには…


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ツマジロクサヨトウの幼虫に食害を受けた石垣島のサトウキビ(県病害虫防除技術センター提供)

 外来の害虫のガ「ツマジロクサヨトウ」の幼虫が県の基幹作物であるサトウキビにまで被害を広げることになった。7月に鹿児島県で国内初確認されて以来、全国的に被害が広がり、6日現在で全国17県で被害が確認されている。県内では5市町村目。石垣島での発生の確認は、サトウキビの被害としては国内初となった。

 ツマジロクサヨトウは植物の葉や茎、果実を食べて害を与える外来種で、繁殖能力・飛行能力が高い。もともと北米や南米に生息し、2018年にインドで確認されて以降、急速にアジアで分布を広げている。日本にも台湾などから飛んできた成虫が繁殖した可能性がある。

 沖縄では7月11、12日に恩納村の飼料用トウモロコシ畑で幼虫が確認され、同24日には多良間村のトウモロコシ畑でも幼虫57匹が確認された。

 県農林水産部は8月6日に農業団体や市町村の担当者らを集めた対策会議を開催。サトウキビに被害が広がることを警戒して、9月末までに県内160の農地で発生調査を行い、早期発見など初動防疫に取り組むとしていた。

 ツマジロクサヨトウの全国的な拡大は日米貿易交渉でも話題となった。首脳会談で米国産トウモロコシ約250万トンの追加輸入を押し付けられた格好の安倍晋三首相だったが、政府は「ツマジロクサヨトウの被害を受けた飼料用トウモロコシの代替確保策」との理由で追加輸入を正当化した。