沖縄「海の玄関口」で何が? 泊ふ頭開発とかりゆし、主張対立 10年前も


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 沖縄の「海の玄関口」として知られる大型複合施設「とまりん」を舞台にした管理・運営元の「泊ふ頭開発」と、テナント「かりゆし」との賃料増額をめぐる主張の対立が訴訟問題に発展した。両社は2009年にも賃料をめぐって衝突し、かりゆしが一時的に施設から退去する事態に発展した経緯があり、問題が再燃した格好だ。

 対立の発端は昨年6月。泊ふ頭開発が同12日付で送付した、かりゆしに賃料増額を求める内容証明郵便だった。

 泊ふ頭開発は、値上げを求める根拠として、「沖縄における不動産市況、ホテル物件の賃料相場の上昇」や「大規模な修繕工事や設備投資」を列挙し、現行の賃貸契約の内容が「不相当であり、将来に向かって増額される必要」があると主張。同7月1日からの賃料値上げを求めた。

 これに対し、かりゆしは入居以来の賃料減額の理由として、「(泊ふ頭開発が)説明・約束していた港湾の再開発や本件建物への百貨店の入居」が実現しなかったために「損失が積みあがった」などと主張し、要求に応じない姿勢を見せた。

 泊ふ頭開発は1995年のとまりん開業以来、厳しい経営が続き、2006年3月期に約10億5千万の累積赤字を計上。財務健全化のためホテル部分の売却を模索し、この交渉の過程でかりゆしが09年に施設を退去し、公募を経て再入居した経緯がある。しかし、12年以降は収益が改善しており、17年3月期まで6期連続の黒字決算となった。

 泊ふ頭開発の宮城建三社長は「収益は改善傾向にあるが、繰越欠損金が今もなお9億円あまり残っている。景気がいいうちに少しでも解消したいという思いもある」としており、今回の賃料増額でさらなる収益強化を図ろうとする思惑がのぞく。

 これに対し、かりゆしの代理人である天方徹弁護士は「経済状況の変化に合わせた増額というが、ホテル経営はプラスの側面だけではない。ホテル間の競争は激化しており、経営環境は極めて不安定だ」と反発を強めている。

 今後は裁判所が選定した不動産鑑定士によって適正賃料が算出される予定で、決着は第三者による評価まで持ち越されることになる。

 (安里洋輔)