鉄軌道、依然ハードル高く 内閣府調査 費用対効果が微増も…


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 【東京】内閣府は9日、2018年度に実施した鉄軌道導入に関する調査結果を公表した。導入コストに対する経済効果を示す「費用便益比」(B/C)は0・69で前年度(0・66)から微増となったが、事業化の目安となる1・0を大きく下回った。

 事業採算性を示す開業後40年間の累積損益も3290億円の赤字(前年度は3580億円)と黒字転換には及ばず、鉄軌道実現のハードルは依然高い結果となっている。

 調査は糸満―那覇―名護間のルートを想定しており、今回はコスト削減策として(1)26ある駅を15に削減(2)用地買収が不要な地下40メートルより深い地点のルート化の二つを新たに検討した。

 だが、(1)は事業費が抑制できるものの駅数が減ることで利便性が下がり、(2)は深さがある分掘削量が増え、事業費圧迫につながるなどの理由から、いずれの検討案も採用には至らなかった。そのため総事業費は17年度と同額の6270億円だった。

 一方で、最新の国勢調査の結果を反映させたところ、利用者に関する需要予測値は前年度と比較して1日当たり約7千人増の10万7千人となった。これがB/Cの微増の主な要因となった。

 内閣府は19年度も調査を実施する。今帰仁村のオリオン嵐山ゴルフ倶楽部で計画されるテーマパーク建設なども需要予測の検討対象に新たに盛り込まれるほか、コスト縮減策として沖縄都市モノレール(ゆいレール)との乗り換えなども検証する。