市民提訴議案、採決先送りか 与野党から公金支出に疑問の声 宮古島市議会


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 【宮古島】宮古島市議会の総務財政委員会(山里雅彦委員長)は10日、不法投棄ごみ撤去事業の住民訴訟を巡り市が原告の市民6人に対し名誉毀損(きそん)で損害賠償を求める訴訟の議案について審議した。委員会では市の提訴方針に対し、与野党双方から疑問視する意見が相次いだ。複数の与党議員によると、議案については与党議員間で意見がまとまっておらず、当初11日に予定されていた委員会採決は、本議会一般質問後に先送りされる公算が大きい。

 与党の濱元雅浩氏は、市側が主張する名誉毀損について市にどれだけの実害があったのかと質問した。これに宮国高宣総務部長は「何を持って実害と言うか分からない。市の名誉を回復したいということだ」と答弁した。

 また、この訴訟によってどのような市民利益が挙げられるかとの質問に対しても「市の名誉を回復すること」と繰り返し、明確な回答を示さなかった。

 さらに濱元氏は公の法人として市が訴えることになれば、「市職員も原告に含まれることになるのではないか」との懸念を指摘。仮に議案が通った際、職員が訴訟に賛同するかどうかについての問いに市側は「職員の意思確認をする予定はない」とした。これらを踏まえた上で濱元氏は「明確な市民利益がない案件に公金を使う理由がない」と疑問を呈した。

 野党の國仲昌二氏は、市側が名誉毀損の根拠とする報告会での「虚偽の事実」の発言者について質疑した。これに宮国総務部長は「代理人が言ったもの」との認識を示し、代理人の発言にもかかわらず市民らを提訴する理由として「当時の原告と代理人は考えが一緒と捉えている。原告判決内容の報告のみならば市が何かを言うことではないが、虚偽の主張はいかがなものか」などと述べた。

 國仲氏は議案書で損害賠償の根拠規定を民法としている箇所の文言が正しくは刑法だと指摘し「議案としてあってはならない」述べたのに対し、宮国総務部長は「解釈の問題だ」と答弁した。國仲氏は一般質問でも継続してこの問題を追及する構え。

 本会議一般質問は17日からの予定で、議案の採決は最終日の25日を予定している。