那覇西、3年ぶり勝利 磨いた選球眼でチャンスものに 高校野球秋季大会


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北山―那覇西 7回無死1、2塁、犠打を成功させ、好機をつくる那覇西の愛甲舜=10日、沖縄市のコザしんきんスタジアム(田中芳撮影)

 高校野球の第69回県秋季大会第2日は10日、コザしんきんスタジアムなど3球場で1回戦を行った。那覇西は7―2で北山を下し、3年ぶりに公式戦での勝利を収めた。嘉手納は5―1で石川を破り、美来工科は3―2で小禄に九回サヨナラ勝ちした。名護は5―1で向陽を下し、首里は6―0で北中城を破った。豊見城南は2―1でコザに競り勝った。普天間は28―0で八重山商工に五回コールド勝ちを収めた。豊見城は4―3で浦添に勝利した。8試合は、8日に予定されていた試合が雨天順延となっていた。14日は3球場で1回戦8試合が行われる。

 2016年の夏の甲子園県大会でベスト4に進出して以降、公式戦では一度も勝ち星がなかった那覇西。優れた選球眼から相手投手の制球を乱し、確実にチャンスをものにした。北山を7―2で下し、2回戦進出を果たした。有田大倫主将は「いろいろな人に支えてもらったおかげで、この1勝がとれた」とかすれた声で振り絞った。

 打ちたい気持ちを抑え、やみくもに手を出さない。ベルトの真ん中にきたボールにのみ絞り、打席に立つと一度バントの構えを取るなど、相手投手を揺さぶり続けた。

 初回に2点先制し、ほぼ毎回好機をつくりながら着実に得点した。安打は3本のみだが、相手の2投手から16の四死球を呼び込み、7得点を挙げた。

 「勝つことは自分をすてること」(町田宗毅監督)。新チームになってから組んだ26回の練習試合には、我慢して打席に立つことを徹底した。はじめは負けが先行していたが、徐々に選球眼が磨かれ、後半は勝利が大部分を占めた。

 昨年に保護者が資金を募り、バッティングマシーンを購入したことも打撃力向上につながった。4強入りした2016年当時の選手が現在はコーチとして指導にあたるなど、勝利のために地域一丸となって盛り上げてきた。

 高校から投手に転向し、9回を投げ抜いた嘉数透斗は「仲間が後ろにいたので落ち着いて投げることができた」、4番の仲宗根快は「もっと上にいきたい」と一言。自信をつけた那覇西ナインは、さらなる高みを目指していく。
 (喜屋武研伍)