石垣と与那国、育鵬社採択 20年度 中学公民教科書、3度目


社会
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 石垣市教育委員会と与那国町教育委員会は2020年度の1年間、保守色が強いと指摘されている育鵬社の中学校公民教科書を使用することを12日までに決めた。教科用図書八重山採択地区協議会が8月2日までに教科書を選定・答申し、両教委がそれぞれ同月7日に採択した。両教委の育鵬社採択は11年、15年に続き3度目。

 教科書は通常だと採択から4年間使用されるが、21年度から新学習指導要領が本格実施となるため、今回は1年間のみ使用される。同地区協議会によると、新たな教科書を選ぶと生徒や教員の混乱を招くとして、6月12日の定期総会で継続使用する方針を確認。8月2日の会議で委員7人が全会一致で各教科の教科書を選定した。

 県教育庁は今月12日に開かれた教育委員会会議で、各採択地区と県立中学校3校の採択状況を報告した。いずれの地区、学校も19年度に使用している教科書と同一の教科書を採択しており、育鵬社を選んだのは八重山地区の2市町だけだった。

 八重山採択地区は11年の教科書採択の際、多数決で育鵬社を選定し、石垣、竹富、与那国の3市町教委に答申したが、十分な議論がなかったことや選定手続きの不透明さなどの問題が発覚し、竹富町教委は独自に東京書籍を採択した。

 採択権限が教育委員会にあるとする地方教育行政法と、同一採択地区内で教科書を統一するよう求める教科書無償措置法の矛盾も浮き彫りとなり、竹富町教委は一時、無償措置の対象から外れた。

 その後、国が無償措置法を改正したことで市町村単位の採択が可能となり、現在、竹富町教委は地区協議会を離れて単独で採択している。