沖縄のため亀次郎伝える 佐古忠彦×津嘉山正種インタビュー


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瀬長亀次郎について話す(右)津嘉山正種と(左)佐古忠彦監督=那覇市の桜坂劇場

 現在、那覇市の桜坂劇場で上映中の「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」を製作した佐古忠彦監督と、14~16日に那覇市で瀬長亀次郎を題材にした朗読劇を披露する俳優の津嘉山正種に、今この時代に亀次郎を伝える理由について話を聞いた。(聞き手 金城実倫)

 ―映画は前作同様、封切りの日に行列が並ぶほど多くの人が訪れている。

 佐古忠彦 おかげさまで多くの方が映画を見ようと足を運んできてくれている。本当に感謝でいっぱい。前作を公開した時「人間亀次郎も見たい」という声があり、230冊に及ぶ日記を一つ一つ読み解き、夫、父としての亀次郎や家族に支えられながらの晩年の姿を映画に盛り込んだ。

 ―津嘉山さんは佐古さんの作品を見た印象は。

 津嘉山正種 佐古さんの作品は前作と今作ともに自分の所属する劇団員を引き連れて一緒に見た。感動と同時にいろいろ考えさせられた。

 ―津嘉山さんは昨年上演した「人類館」に続き2回目の朗読劇となる。亀次郎を題材にしようと思ったきっかけは。

 津嘉山 「カメジロー・沖縄の青春」(1998年)で亀次郎役を務めた時に、いつか亀次郎さんを舞台で上演できないかと考えていたが、亀次郎ファンが多く、生半可で演じることはできないと、公演を実現することができなかった。しかし最近、亀次郎さんのことについてめいっ子と話すと、亀次郎のことを知らないと言われた。これは上演しないといけないと思い、亀次郎さんの作品を朗読しようと思った。

 ―2人にとって作品の中で一番伝えたい亀次郎の魅力とは。

 佐古 佐藤栄作首相との国会討論の映像が印象に残ると思う。亀次郎さんが時の権力者と立ち向かって、沖縄の声をまっすぐに伝えている。そういう姿が今の政治や政治家にあるのだろうか。そのことを深く考えさせる映像だと思う。本当は第3弾、第4弾の作品がつくれるくらい亀次郎さんのエピソードはたくさんある。いつか紹介したい。

 津嘉山 亀次郎さんは民衆が支えた。特にまちやぐゎーのあんまーたちが先頭に立って支えた。那覇市長になった時、米国民政府の補助金停止や琉球銀行の資金凍結にあっても、あんまーたちが売上金を持って税金を納めに行った。今の政治家にいるだろうか。亀次郎さんの命(ぬち)かじり那覇市民や沖縄のために尽くした行動や言葉を伝えたい。本番では観客に「したいひゃー亀次郎」と言われるような朗読劇にしたい。

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 朗読劇「津嘉山正種ひとり語り『沖縄の魂』―瀬長亀次郎物語」(劇団青年座・沖縄タイムス社主催、琉球放送共催)は14~16日、那覇市のタイムスホールで上演される。開演は14日が午後6時、15、16の両日は午後2時。チケットは全日完売している。