【嘉手納】沖縄戦で捕虜となり、米ハワイの収容所で亡くなった県出身者12人の遺骨について、県保護・援護課は12日、11人の遺骨が1950年までに沖縄に送還されたとみられる調査結果を公表した。うち5人の遺骨が遺族の元へ帰った可能性があるが、連絡の取れた遺族から受け取ったとの回答は得られていない。
2017年にハワイで初めて慰霊祭を開催した実行委員会(渡口彦信、高山朝光共同代表)の要請を受けて調査を進めていた県は、県公文書館所蔵の遺骨送還名簿や死亡者原簿など複数の資料を基に中間報告をまとめた。
11人の遺骨のうち、6人の遺族と連絡を取ったが、遺骨の行方は分からないままとなっている。1人の遺骨はハワイから日本へ送還後、所在不明という。11人の遺骨は、熊本県地方世話部から複数回に分けて沖縄へ送られたことも明らかになった。
嘉手納町役場で12日あった報告会で、宮城和一郎県保護・援護課長は「戦後74年が経過し情報収集も困難を極めているが、当時の資料などを調べ、広報誌で情報を呼び掛けるなど引き続き調査を進める」とした。
遺骨の行方が分からない石川苗得さん(享年33)の孫、英樹さん(41)は「祖母は生前、祖父の遺骨代わりに石ころを墓に供えていた。遺骨が送還されたとは思えない」と語り、調査の継続を求めた。