災害時電力は再エネで確保 周防大島で技術活用


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 エネルギー関連事業の県環境・エネルギー研究開発機構(西原町、小山聡宏代表理事)が、災害発生時に再生可能エネルギーで電力を確保するプロジェクトを、山口県の周防大島で進めている。自然災害などで島への電力供給が絶たれた場合に、島内の太陽光発電やバイオマス発電で電力を供給する体制を確立する。小山代表は再生可能エネルギー事業を多く手掛けており、県内で培った技術を山口県でも活用する。

 プロジェクトでは、周防大島に太陽光発電設備やバイオマス発電施設、蓄電システムを整備して、マイクログリッドと呼ばれる電力供給網で島内の各施設と結ぶ。

 災害などで本州と島をつなぐ電力系統が遮断された場合でも、マイクログリッドを活用して発電設備や蓄電システムから公共施設や病院など主要な施設に電気を供給する。電力の需給バランスなどを制御するシステムも構築する。

 瀬戸内海に浮かぶ周防大島は面積138平方メートル、人口約1万6千人で、大島大橋によって本州とつながっている。地域内で独立した電力供給体制を構築することで、非常時の停電を避けられるという。

 プロジェクトは山口県の安本建設が代表企業を務め、小山代表が企画・立案や運営、管理を担う。山口や広島の企業と協力して、2020年度の実用化を目指す。

 小山代表は、久米島町内でエネルギーの地産地消を目指すプロジェクトにも携わっている。周防大島でも久米島で確立した技術を生かす。将来的には国内外の島しょ地域での技術活用も視野に入れる。

 宮城県出身の小山代表は東日本大震災を経験していることから「自分自身の震災の経験も伝えながら、災害が起きた場合の対策を進めたい」と強調した。
 (平安太一)