宮古島市民提訴撤回 「当然だ」原告ら批判 「議案自体が前代未聞」経緯の説明求める声も


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 宮古島市(下地敏彦市長)が17日、不法投棄ごみ事業を巡る住民訴訟の原告市民6人を提訴する議案の撤回を市議会に通知したことを受け、訴訟の原告だった市民や提訴に反対した市議会議員、一般市民から市の判断を当然視する声や、議案提出そのものへの批判の声が上がった。撤回の理由は「内容を精査する」というもので、下地市長も「やめるわけではない」と答えており、市が再提案する可能性もある。原告市民らは今後の市の対応を注視している。

 宮古島市が市の不法投棄ごみ事業を巡る住民訴訟の原告市民6人を提訴する議案の撤回を市議会に申し出たことを受けて、住民訴訟の原告と弁護士からは「当然だ」という声が上がった。

 原告の岸本邦弘さん(58)は「そもそもできない訴訟を提起しようとしたこと自体が市民の感覚と違う。市民を提訴する議案を簡単に提案できること自体が異常事態で、前代未聞だった」と苦言を呈する。住民訴訟は「市をよくするために、憲法で認められている権利を使っただけだ」として、市の対応に不満を見せた。

 「修正案を出してこないとも限らない」と、砂川洋子さん(65)は警戒する。権力を持つ者が市民を封じる構図に「人権侵害も著しい」と糾弾。なぜ市民が市のごみ事業について訴訟を起こしたかも含め、「下地市長は具体的に知らせていく必要がある」と説明責任を果たすべきだと訴えた。

 下地博盛さん(69)は「市民や識者の批判があったことや、これ以上、問題をこじらせない方がいいという判断から、議案を取り下げざるを得なかったのではないか」と推測する。住民訴訟について「われわれ市民には行政を監視する役目もあり、ものを言うときは言わなければならない」と重要性を強調した。

 不法投棄ごみ訴訟で、住民側代理人を務めた喜多自然弁護士は「本来、このような訴訟を提起する案が出てきた段階でストップがかかるべきだった」と市の体制に問題があると批判。「撤回されたからいいではない。こういう議案が提案されたこと自体が問題だ。提案に至った経緯を検証する必要がある」と指摘した。