社会課題解決、ゲーム通し考える 西原町でSDGsワークショップ 教員、行政職員、会社員70人参加


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 沖縄でSDGs(持続可能な開発目標)のムーブメントをつくろうと「SDGsはじめの一歩ワークショップ」(「水の環でつなげる南の島のくらし」プロジェクト、NPO法人沖縄NGOセンターなど共催)が7日、西原町の沖縄キリスト教学院大で開かれた。教員を中心に行政職員、企業などから約70人が参加して会場は満員。当初の定員50人を大幅に上回り、関心の高さが表れた。

カードゲームで課題解決を考える参加者ら=7日、西原町の沖縄キリスト教学院大

 参加者はまずSDGsについて根本的な理解を深めた後、カードゲームで地域の課題解決を考え、最後には関心の近い参加者同士で意見交換しネットワークをつくった。ほぼ1日をかけて、翌日からの行動につながる時間を過ごした。

 午前の講師を務めた認定NPO法人開発教育協会の中村絵乃さんは、SDGsの背景にある世界の将来への危機感に触れて「今までの延長線では変わらない。誰が決めた、誰のための開発なのかという原点に立ち返り、考え直す必要がある」と投げかけた。

 参加者はグループに分かれて「教育」「人のつながり」「医療」など9項目に優先順を付けて並べるワークショップをした。まずは自分1人で考えて、次に3人のグループで話し合い、順位を決めた。順位の付け方も、ある項目を選ぶ理由も、立場や視点によって異なることを参加者は実感。中村さんは「『沖縄の子どもにとって』『外国人にとって』と立場を変えると優先順も変わる。今まで意思決定に参加できなかった、取り残された人の声を聞くのが重要だ」と指摘した。

 午後には、金沢工業大(石川県)が2018年度に開発した社会課題の解決策を考えるカードゲームを、同大学生の進行で体験した。「クーラーを節約したら熱中症になった」といったジレンマのある課題を、「有名人」「AI」など何種類ものリソース(資源)カードを組み合わせ、イノベーションを起こして解決方法を考えた。

 同大講師でSDGs推進センターの北川達也さんによると、ゲームは「リソースを組み合わせ、課題を解決する考え方を学ぶ手法の一つ」だ。参加者はゲームを一通り体験した後、沖縄独自のリソースカードを作り、これを生かしたアイデアを練った。

 一日の締めとなる交流会では「SDGsを教材に取り入れたい」「行政施策に反映させたい」など、やりたいことや関心の近い人同士がグループをつくり意見交換をした。「地域とつながり、学びを学校の外にも生かしたい」「子どもの柔軟な発想は町おこしやビジネスにも使える。つながり方を知りたい」など意欲的な意見が次々と上がった。

 名護市から訪れた新里青空(ちゅら)さん(19)=名桜大2年=はカードゲームについて「あるものを組み合わせて新しい可能性を考えるのが面白かった」と声を弾ませた。妹の春陽さん(17)=泊高2年=は「大人も楽しそうに未来のことを考えていると知ることができ、新鮮だった」と話し、多世代で話し合う場の意義を感じていた。

 SDGsに取り組み始めたという久米島町三島郷友会の吉濱秀彦事務局長=那覇市=は「SDGsを深く理解したいと参加した。これだけの人が地域の未来を一生懸命考えるのはすごいこと。自分たちも頑張らないと」と目を輝かせた。