10月1日の沖縄都市モノレール浦添延長を心待ちにしている“ゆいレール博士”がいる。那覇市立壺屋小学校2年、安里孔貴さん(7)=同市松尾。物心ついた頃からゆいレールにはまり、今年の夏休みは自由研究で取り上げた。母親が「オタク」と呼ぶ孔貴さんに、新しく開業する石嶺駅の車内メロディーを尋ねてみた。「ちょんちょんキジムナー!」。自信たっぷり、即答だった。
ゆいレールを好きになったのは、3歳の頃。当時、母の裕紀子さん(41)と国際通りを毎日散歩していた。その道中、よく美栄橋駅―牧志駅に乗車したが、乗らずに帰る時は帰宅後も泣いた。那覇市安次嶺のゆいレール展示館を訪れ、ゆいレールファンクラブの会員にもなった。
幼稚園の頃は毎朝泣いていた。「ゆいレールが目の前にあったら、喜んで学校に行くのでは?」。そう考えた両親は、牧志駅に隣接する壺屋小を選んだ。孔貴さんは昼休みになると運動場に駆け出し、駅を見上げる。「上下線で6回、発車が見える。ヒューっていう音が好き」。小学校に上がってからは、登校時、一度も泣いていないという。
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孔貴さんが学校に提出する日記には、ゆいレールに関する記述が頻繁に出てくる。「ぶんしょうもんだい ゆいレールに76人がのっています。16人おりるとなん人ですか」。「自由記述」の時にはこんな創作問題も。引き算の式や答えも添えてある。日記がゆいレールの話題に偏るので、母が「テーマを決めてください」と担任に頼んだこともある。
「みんなに知ってもらいたい」と、この夏休みの自由研究でモノレールを取り上げた。沖縄都市モノレール社作成のパンフレットやインターネットを参考に、モノレールの発祥国やゆいレールの路線図、延長区間の駅舎も写真入りで紹介。沖縄県の陸上交通の課題まで盛り込み、14ページの大作に仕上げた。
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車内アナウンスも完全コピーし、車両の窓やライトの色の違いまでチェックしている孔貴さん。今、一番の関心は10月1日に迫る浦添延長だ。「石嶺駅のホームの柱が面白い。てだこ浦西駅は丸くてかわいい」。工事が始まると何度も視察に出掛け、試運転の車両を母の車で追い掛けた。
ゆいレール図画コンクールに応募し、低学年の部で最優秀賞を受賞した。29日の延長開業式典にも招待されている。孔貴さんは「てだこ浦西駅で降りて、友達とピクニックに行きたい」と声を弾ませ、「便利になるので名護、石垣島まで延びてほしい」。「ゆいレールの運転手」という将来の夢に向かって、さあ、出発進行―。(真崎裕史)