11月は沖縄の島々が美術館に うるま市の5つの島で「シマダカラ芸術祭」


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 【うるま】沖縄県うるま市の島しょ地域を巡りながら芸術作品を楽しめる「うるまシマダカラ芸術祭」(主催・うるま市、共催・市観光物産協会、琉球新報社)が11月1日に開幕する。これまで「イチハナリアートプロジェクト」の名称で親しまれてきたが、「うるまの島でしかできない芸術祭に」との思いを込め、名称を変えた。開幕を1カ月半後に控えた14日、芸術祭にかける地域住民の思いをくみ取り、作品の展示空間をイメージしようと、出展作家ら約15組が芸術祭の舞台となる島々を訪れた。

 芸術祭は旧浜中学校跡地をメーン会場に、海中道路でつながる平安座、浜比嘉、宮城、伊計の島々と、フェリーで行く津堅島で開催される。11月10日までの会期中は県内在住作家による絵画や写真、工芸品など多彩なアートが展示され、島全体がアート一色に染まる。

 14日、終日かけて島々を巡り作品へのイメージを膨らませた作家らは宮城島の古民家「ナグンシヤー」で、島の住民らと意見交換会も実施した。初めて参加する紅型の染織家、知花幸修(ゆきなが)さん(32)=宜野湾市=は「古民家や学校など普段とは違った場所で展示できるのは面白い。空間全体がアート作品になる」とし、今から開催を楽しみにしていると語った。

 夫の瑞慶山成人さん(39)と共にデザイン事務所「デコール」を運営する南風亜矢子さん(39)=豊見城市=は、壁画制作を手掛けるといい「島の住民、作家、見に来てくれる人みんながつながり、喜んでくれるような作品にしたい」と意気込んだ。

 芸術祭に長年協力してきた岸本次夫さん(67)=宮城島=は「島の過疎化は深刻。芸術祭が作家だけでなく、訪れる人に島の魅力を伝える起爆剤になってほしい」と願った。

芸術祭の成功を誓い、宮城島の住民らと記念撮影する作家ら=14日、宮城島のナグンシヤー