今議会は再提案せず 市長、「今後」明言避ける 宮古島市民提訴議案


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市民を提訴する議案について「今議会で提案する考えはない」と述べる下地敏彦宮古島市長=24日午前、宮古島市議会

 【宮古島】沖縄県宮古島市の不法投棄ごみ撤去事業の住民訴訟を巡り、市が原告市民を名誉毀損(きそん)で損害賠償を求め提訴する議案を提出した件で、下地敏彦市長は市議会一般質問最終日の24日、精査のために取り下げていた同議案について「今議会で提案する考えはない」と述べ、9月定例会会期中には提出しないことを明らかにした。新里匠氏への答弁。

 議会終了後、下地市長は会見を開き、提案した議案が市議会で議論され、各種メディアで報道されたことにより「広く市民へ市の考え方を伝えることができたことは大変意義があった」と説明。「住民運動だからと言って、他人の名誉を毀損して良いことにはならない」と従来の見解を繰り返した上で「市民と行政は節度ある対応を互いにしていくべきだ」とした。

 同じ内容の議案を今後市議会に提案するかどうかについては「原告側がどのような対応をするのか、その行動を注視し対処する」と述べるにとどめた。

 一般質問では、提訴理由について聞いた新里氏に対する答弁で、長濱政治副市長は原告の主張を複数列挙し「あたかも市が違法なことを行っているかのような発言を公然と示した」と述べ「市の名誉を毀損している」と繰り返し強調した。

 答弁を受けた与党市議の新里氏は提訴に「賛同する」と述べた上で持論を展開した。住民訴訟を起こした原告の市民らは「市民活動集団」であるとし「市は市民を提訴しているわけではなく、責任ある市民団体を提訴しているので、住民を萎縮させたわけでもなく、言論の自由も侵害していない」と述べた。