県道整備、米軍許可出ず工事中断 北谷ー沖縄市バイパス 一部用地が返還予定なし 合意形成に不備


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭
桑江交差点から延びる県道24号線バイパス。米軍からの立ち入り許可が下りず工事が進まずにいる=北谷町桑江

 沖縄県が進める北谷町と沖縄市を結ぶ「県道24号線バイパス」整備を巡り、整備予定地に返還予定のない米軍施設が含まれていることで、米軍の許可が得られず、事業が一部中断していることが25日までに分かった。県は米軍から整備の了解を得たと主張するが、米軍は「土地返還に関する協定を順守する」として、県が申請する測量や土質を調べる立ち入り調査を拒否。両者のやりとりを仲介する沖縄防衛局は、事業着手前に3者の調整が必要だったとの立場を示すなど、各者の認識に差があることで混乱が生じている。

 識者は「事業着手前に関係者との合意形成がなく、不透明な行政手法と言わざるを得ない」と指摘している。

 県道24号線バイパス全体の整備区間は、国道58号の北谷町役場入口交差点から沖縄市山里の沖縄環状線までの約3140メートル。県は2002年2月の都市計画決定を経て、03年から北谷町桑江から沖縄市南桃原の約1720メートルを事業化し整備を進めている。本年度、単年度予算としてハード交付金約2億円を計上した。

 同バイパス整備区域には米軍キャンプ桑江の一部が含まれる。県は18年5月、25年をめどに予定されるキャンプ桑江の返還が完了次第、整備に着工できるよう対象地域について測量などを行う立ち入り調査を防衛局を通じ米軍に申請した。だが、現在事業化されていない沖縄市側の整備予定区間に返還予定のない米軍キャンプ瑞慶覧のアッパープラザ地区の一部が含まれることで、米軍は県の立ち入りを許可していない。県の担当者は「調査が実施できなければ、事業を進めることは困難だ」と話している。

 現在、現道入口の謝苅交差点から北谷中学校までは11分かかるが、バイパスが開通した場合は、桑江交差点から北谷中まで5分に短縮される。
 (吉田早希)