【識者談話】米軍事故の責任を明確化するには… 前泊博盛・沖国大教授


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前泊博盛沖縄国際大教授

 被疑者不詳のままでは、不起訴になる可能性が非常に高い。捜査や調査を直接していないのに米側の事故調査報告書を基に書類送検すること自体が異常な状態で、主権国家として体をなしていない。本来、日米地位協定17条では捜査には相互に援助すると明記されているが、なぜ協力が得られなかったのか理由を明らかにするべきだ。

 日本政府は、自国内で起きた事故に関して手出しができないことを重く受け止める必要がある。住民に被害がないとの甘い姿勢があるが、県民が犠牲になって初めて動くのか。事故を未然に防止する姿勢が全く見えない処理の仕方だ。

 米側は事故原因を「困難な気象条件下で空中給油訓練を行った際のオスプレイの機長のミス」と断定した。そもそも困難な気象条件下の訓練は、機長独自の判断によるもので、軍は関与せず訓練を行っているのか。そうでないとしても、困難な気象条件下でなぜ訓練をさせたのか。機長にミスをなすりつけ軍としての責任を回避するのは組織の在り方としてあり得ない話だ。

 この重要な問題に、日本政府が抗議をしていないことにも問題がある。報告書の中身について言及する必要がある。機長のミスとして処理できる内容では到底なく、責任の所在がどこにあるのか明確にする必要がある。
(前泊博盛・沖国大教授)