県道24号線バイパス事業が中断しているのは、事業着手前の県と沖縄防衛局、米軍の間の合意形成に不備があっためだ。一義的には事業主体である県の責任は大きいが、一方で、米軍基地が集中しているがために公共事業などの街づくりを円滑に進めにくい沖縄が抱える特殊事情も浮き彫りになった。
責任の所在が明確でない面もある。沖縄防衛局は米軍とのやりとりを記した行政文書を既に廃棄したとしており、当時の両者のやりとりを検証することができない。事業途中での文書の破棄は県と米軍の調整に支障を来す要因の一つにもなっている。
都市計画決定は、関係機関との協議を経て決定されるため、県の担当者は「今になって簡単に整備区間を変更することは難しい」と話す。身動きが困難な状況だ。
県は「返還予定のない米軍地については、将来的に沖縄市側の道路を事業化する前の段階で調整する」との方針で、米軍側に了承するよう働き掛けている。
交通の改善が期待される事業だけに、工事が長期化すると、道路の完成を待つ自治体や住民への影響は大きい。現在の膠着(こうちゃく)状態を脱するためには、県、国、米軍の三者が同じテーブルに付き、事態打開に向け協議する必要がある。
(吉田早希)