「沖縄戦の図」全14部公開 佐喜眞美術館 一挙展示は初


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公開が始まった全14部の「沖縄戦の図」。沖縄戦(読谷三部作)のうちの「残波大獅子」を説明する佐喜眞道夫館長=26日、宜野湾市の佐喜眞美術館

 宜野湾市の佐喜眞美術館(佐喜眞道夫館長)は25日から、故丸木位里・俊夫妻による「沖縄戦の図」全14部の同時公開を始めた。開館25周年の節目を記念した企画で、全作の一挙展示は1994年の開館以来初めて。12月16日まで。

 シリーズは「沖縄戦の図」とされるが、戦争当時の様子を描いた絵だけではなく、戦後や現代を描いた絵も多く含まれている。シリーズのうち最大の「沖縄戦の図」など数点は常設で展示するが、他の作品は交代で一部公開するにとどまっていた。
「原爆の図」で知られる丸木夫妻は82~87年、沖縄に通い戦争体験者の証言を聞いた上で絵を描き上げた。

 丸木夫妻と交流が深かった佐喜眞館長は「丸木さんは沖縄のみんなで描いた、と言っていた。描かれた人物1人1人に実在のモデルがおり、二度と戦争をしてはいけないという、その人々の思いが込められている」と強調。「悲惨な地上戦の経験を記憶し続ける沖縄県民をすごいと言っていた。絵で真実を描こうとした思いをぜひ多くの県民に見て感じてほしい」と来場を呼び掛けた。