辺野古移設推進求める宜野湾市議会と辺野古中止を求める名護市議会


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米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を促進する意見書を、与党などの賛成多数で可決する宜野湾市議会=27日、同議会

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に関し、宜野湾市政で与党多数の宜野湾市議会は辺野古移設促進を求める意見書を可決したが、名護市政で野党多数の名護市議会は辺野古の新基地建設中止を求める意見書を可決した。普天間飛行場を抱える宜野湾市議会と移設先の名護市議会で対照的な意見書可決となり、立場の違いが鮮明になっている。

 普天間飛行場の危険性除去を訴えている宜野湾市議会に対し、辺野古移設促進を求める意見書可決を各市町村議会に求めている「宜野湾市民の安全な生活を守る会」が5月に意見書可決の陳情を出した。9月議会開会前の議会運営委員会で本会議提案を諮ったが反対議員が出たため、全会一致を目指す申し合わせ事項により委員会内の配布止まりとなった。

 このため与党議員は「当事者として陳情の思いに応えたい」と意見書を議員提案した。与党・絆輝クラブの平安座武志議員は賛成討論で「国との合意に基づき辺野古移設事業しか動いていないことを考えると、移設を促進することが(普天間飛行場の)早期返還につながると確信している」と強調した。

 一方、6月の名護市議会軍事基地等対策特別委員会で、同陳情は反対多数で不採択となった。同市議会では、辺野古移設問題の民主的解決を求め各議会へ陳情を出している「新しい提案」実行委員会が3月に陳情を提出。陳情は9月議会の軍事基地等対策特別委員会で採択されたが、本会議提案には至らなかった。野党は本会議に意見書を再提案し、辺野古新基地建設の中止を求める意見書可決にこぎ着けた。宜野湾市議会で同陳情は議運で反対議員がおり、本会議提案には至らなかった。

 辺野古出身で与党の宮城安秀議員は意見書採決の質疑で「辺野古区は(基地移設を)条件付きで容認してきた」と指摘した。提案を説明した野党の岸本洋平議員は、沖縄は過重な基地負担があるとして新基地建設問題は「国民的議論にのっとって解決していく問題だ」と訴えた。

 各意見書可決に関し、河野太郎防衛相は27日の会見で「地方議会の一つ一つのアクションにコメントするのは差し控えたい」と断った上で、普天間飛行場の危険性除去に向け早期の辺野古移設に取り組む考えを示した。河野氏は29日に沖縄入りして玉城デニー知事との会談などを予定する。防衛省関係者は「地元(宜野湾市)の思いに応えることは重要だ」と語り、河野氏来県にとって絶好のタイミングとの認識を示した。 (金良孝矢、塚崎昇平)