経済

大型商業施設にホテル、マンション…「地域がどんどん変わる」 経済効果は「30年度で年間58億円」 「素通りのまち」脱却へ期待膨らむ

 モノレールの車窓から眺めると、見慣れた光景が全く違って見えた。「前田って、こんなに緑が多かったのか」。浦添市前田自治会の石川仁孝会長(65)は20日、沖縄都市モノレール(ゆいレール)の浦添延長区間開業を前に、老人会の女性らと一緒に試乗した。「すごいね」「どんどん活用しよう」。どの顔もうれしそうだった。


てだこ浦西駅をバックに、大型商業施設の建設予定地を紹介する浦添市てだこ浦西駅周辺土地区画整理組合の又吉眞孝理事長=25日、浦添市前田

 10月1日、市内に「経塚」「浦添前田」「てだこ浦西」の三つの駅が誕生する。2008年3月の「浦添ルート案」推奨から10年余り、ゆいレールがついに「わったー浦添(うらしー)」にやって来る。浦添前田駅に近い石川会長は「周辺道路や施設の整備が終わっていないので、もろてを挙げて万歳とは言えない」としつつ「地域はこれからどんどん変わっていくだろう。楽しみだ」と話した。

 「素通りのまち」脱却へ向け、行政もモノレール延長に期待を寄せる。15年度の試算では、市内3駅を1日に1万2千人が利用。その5人に1人を観光客と見込む。モノレール延長による経済効果を、市は「30年度で年間58億円」とそろばんをはじく。

 市は浦添前田駅を観光の玄関口と位置付け、近くに案内所機能を備えた「にぎわい交流拠点施設」を整備する計画だ。市観光振興課の金城徹課長は「浦添グスクの南入り口まで徒歩5分ほどで行ける。観光客を拠点施設から市内に誘導したい」と説明する。


 ただ、拠点施設の完成は目標で3年後。市内を周遊する交通網は乏しく、駅のある市東部と西部をつなぐ仕組み作りもこれからだ。市は経塚駅周辺にカフェなどが入る経塚公園を整備予定だが、完成目標は23年度。市民からは「開業と同時にインフラもできると思っていたのに」との声も漏れる。

 延長区間の起点・終点となる、てだこ浦西駅の周辺整備も「現在進行形」だ。ただ、地権者らでつくる市てだこ浦西駅周辺土地区画整理組合の又吉眞孝理事長は「浦西地区は湿地帯で起伏が激しい。モノレール延長がなければ、開発から取り残されていた」と感慨深げに話す。

 駅周辺の18・65ヘクタールの土地に、大型商業施設やホテルを含む複合施設、スポーツフィットネス施設、マンションなどの建設が予定されている。大型商業施設は、住友商事とイオン琉球が駅北側に計画。地価の高騰で調整に時間が掛かっていたが、今月ようやく土地の売買・賃貸契約が完了したという。地権者との面談を繰り返してきた又吉理事長も「やっとたどり着いた」と胸をなで下ろす。

 大型商業施設は来年春に着工し、22年4月の開業を見込む。住居ゾーンには約2千人の居住が可能で、他の施設も5年後をめどに順次完成する予定。又吉理事長は「30年前、この地域は『陸の孤島』と言われていた。そこにポテンシャルがあった。モノレール延長でダイヤモンドを掘り当てた感覚だ。老若男女で活気に満ちて、全国のモデルになるまちをつくりたい」と力を込める。

 地域の期待を乗せ、延長モノレールはまもなく発車する。
 (真崎裕史)



関連するニュース






  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス



  • 会員制サービス






  • 他のサービス