沖縄県内飲食チェーン 価格設定、判断分かれる 消費税10%


この記事を書いた人 アバター画像 桑原 晶子
1日の増税を前に価格表示を張り替えるエイアンドダブリュ沖縄の屋嘉部力スーパー店長=9月29日、浦添市のA&W牧港店

 顧客の分かりやすさを重視するか、同一商品同一価格の原則を貫くか。1日、消費増税と同時に飲食料品などを対象とした軽減税率制度が始まる。外食とみなされ10%の税率が適用される店内飲食と、8%に据え置かれる持ち帰りの双方に需要がある飲食チェーンでは、値付けを巡って判断が分かれている。

 ブルーシールアイスクリームを展開するフォーモストブルーシール(本社・浦添市)では、店内飲食用に提供する商品は本体価格を値下げすることで、税率8%で据え置かれる持ち帰り商品と税込み価格をそろえた。このため店内飲食でも持ち帰りでも価格は増税前と変わらず、シングルアイスだと税込み350円のままとなる。

 店内で飲食する客が多く本体価格値引き分の店負担は大きくなるが、客にとっては支払う総額が分かりやすいという利点がある。後藤洋貴店舗管理課長は「食べ物は基本的に8%と思っている人も多く、分かりやすさを重視した」と話す。

 「ゴーヤーバーガー」などで知られるジェフ沖縄(与那原町)も、飲食商品全品を現在の税込み価格で据え置く。担当者は「価格を上げてしまうと消費が冷え込む可能性がある」と話した。全国チェーンでは、マクドナルドやケンタッキーフライドチキン、すき家なども税込み同額方式を採る。

 一方、ハンバーガーチェーンのA&Wを運営するエイアンドダブリュ沖縄(浦添市)は、本体価格をいじらず、店内での飲食には10%、持ち帰りには8%と異なる税率を適用するため、税込み価格に差が生じる。税込み同額方式にした場合に「同じ商品で本体価格が違う理由の説明が難しい」と判断した。

 大城一雄常務は、1日から消費者還元事業に参加するために全店でキャッシュレス決済を導入するため、従業員の業務が複雑化することも予想されるとして「千人近い従業員が、質問された時に説明しやすいように税率をそのまま適用した」と説明する。

 モスバーガーや吉野家、スターバックスコーヒーも本体価格同額方法を採用する。