「オレオレ詐欺」からシフト 電子マネー詐欺が横行 1月から11件発生、架空請求被害1153万円


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店頭に陳列されたプリペイド式電子マネー

 コンビニエンスストアや量販店で手軽に購入でき、インターネット上で利用できるプリペイド式電子マネーや電子ギフト券などを狙った架空請求詐欺が沖縄県内で今年1月から11件発生し、被害額は約1153万円に上っている。県警が1月から9月30日までに覚知した特殊詐欺は14件。そのうち架空請求詐欺が11件と大半を占める。県警は認知の進んだ「オレオレ詐欺」から、銀行口座が不要で犯人像が見えにくい電子マネーなどを狙う巧妙な手口にシフトしているとみて、警鐘を鳴らしている。

 県警によると、架空請求詐欺の被害者は10~70代で、若年層からシニア世代まで幅広い。北谷町の70代男性は9月20~27日に、メールで身に覚えのないサイト利用料金を請求され、電子マネー約425万円相当をだまし取られた。

 男性が携帯電話に届いたメールに記載された番号に電話すると、男の声で「サイト利用代金が未納だ。裁判費用がかかる。今払えば半額で済む」などと告げられた。男性はコンビニで電子マネーを購入し、電話でカードの番号を伝えた。

 その後も「あなたの携帯から発したウイルスで被害者が出ている。賠償するために保険金を納付してもらいたい」などと、複数から電話を受けた男性は何度も電子マネーを購入。多い日で約250万円分をだまし取られたという。

 プリペイド式電子マネーは、店頭であらかじめ入金した相当額がネットゲームや音楽配信、通販などインターネット上で幅広く利用できる。細かい審査や申し込み手続きなしで決済でき、数年前から県内のコンビニや量販店には多種類のカードが陳列されている。

 県消費生活センターによると、電子マネーやスマートフォンを利用した決済が浸透し、関連トラブルの相談は増加傾向という。

 捜査関係者は「詐欺の手口が認知され始めると、一層手の込んだ悪質な手口が増える。電子マネーを使う詐欺はインターネットに上がると数字だけで具体的な金の流れが見えづらく、犯人の特定や取り締まりは厳しい」と指摘した。
 (高辻浩之)