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ガザ病院「トンネル発見」 イスラエル軍 正当性協調、西部制圧


ガザ病院「トンネル発見」 イスラエル軍 正当性協調、西部制圧 イスラエル軍がシファ病院内で発見したとするトンネルの立て坑の写真。軍が16日公表した(イスラエル軍提供・共同)
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 【エルサレム共同=吉田昌樹】パレスチナ自治区ガザに地上侵攻するイスラエル軍は16日夜、北部ガザ市にある地区最大のシファ病院の捜索で、トンネルの縦穴と武器を多数積んだ車両1台を発見したと発表した。軍は病院の地下にイスラム組織ハマス中枢の司令部があるとしており、攻撃の正当性を強調した。イスラエルのガラント国防相は16日、ガザ市西部地域の制圧を表明。軍は南部の住民にも避難を要求しており、南部にも侵攻する構えを見せている。

 病院攻撃は国際人道法違反との批判が高まる中、イスラエルは地下トンネルが存在する証拠提示を迫られている。ハマスは病院の軍事利用を否定。指導者ハニヤ氏は16日「でっち上げのうそに基づく攻撃」と非難した。

 軍はハマス幹部らが潜伏する地下施設2カ所を攻撃したとも主張した。

 軍は17日までに、ハマスに拉致された女性と兵士の計2遺体をシファ病院付近の建物でそれぞれ見つけ、イスラエル側に移送したと表明した。地元メディアによると、女性は65歳のイスラエル人で、ガザとの境界付近在住だった。兵士も女性で軍は14日に死亡を確認したと発表した。ハマスは軍の攻撃で9日に死亡したと主張していた。

 ガラント氏は16日、地上侵攻が進み「この24時間でガザ市西部地域を制圧した。次の段階が始まった」と述べた。AP通信によると、ガラント氏は15日、侵攻は「北部と南部の両方を含む」とし、地上部隊が南部に進軍する可能性を示唆。軍は、ガザ南部ハンユニスの東側で住民に避難を求めるビラを空中から落としたと伝えられている。

 イスラエルのネタニヤフ首相は17日までに米CBSテレビで、ガザ侵攻で民間人犠牲の最小化に「成功していない」とし、ハマスが住民の避難を妨害していると述べた。

 軍は、パレスチナ赤新月社が運営するガザ市のアルクッズ病院でも武器を発見したと説明した。赤新月社は、軍がガザ市中心部のアルアハリ・アラブ病院を包囲して攻撃していると表明した。

 軍は15日未明にシファ病院に突入し、敷地内の建物を捜索している。患者や職員らは残ったままとされる。