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帰郷を望んだ晩年 浦添八重子さんの体験(5) 母の戦争<読者と刻む沖縄戦>


帰郷を望んだ晩年 浦添八重子さんの体験(5) 母の戦争<読者と刻む沖縄戦> 孫に囲まれる浦添八重子さん(小島幸雄さん提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

小島幸雄さん(58)=大阪市=の母、浦添八重子さんは戦後、首里の親類に育てられます。学校を出た後、バス会社勤務を経て和歌山県で暮らしました。
 1962年、大阪生まれの小島正春さんと結婚し、3人の子が生まれます。幸雄さんは長男です。孫にも恵まれました。
 晩年、帰郷を望んでいた八重子さんは2014年、75歳でこの世を去りました。生前、「死んだら沖縄の海に散骨してほしい」とも語っていました。小島さんは母の思いを尊重し、本島中部の霊園に遺骨を納めました。お便りはこう結びます。
 《私が沖縄を訪れた回数はそれほどではないのですが、飛行機が那覇空港に着陸する間際、沖縄本島が見えてくると、なぜか涙がにじんできます。この美しい島、母の故郷が狂った戦争に巻き込まれたことを許せない気持ちになります。
 母は沖縄に帰りたい気持ちでいっぱいでした。その思いはかなえてあげられなかったけど、亡くなってから沖縄の土に還(かえ)してあげることができました。
 もし、この文章が人目にふれるようなことがあれば、どなたか浦添八重子という当時6歳の女の子を知っている方がいれば、何でもいいから教えていただければ幸いです。》
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 浦添八重子さんに関する情報をお寄せください。那覇市泉崎1の10の3、琉球新報編集局「読者と刻む沖縄戦」係。電話098(865)5124、FAX098(865)5222です。
 (浦添八重子さんの体験は今回で終わります。次回から石垣栄一さんです)