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「親が若年性認知症になったらどうする?」 ヤングケアラー支援を議論 県医師会館 沖縄


「親が若年性認知症になったらどうする?」 ヤングケアラー支援を議論 県医師会館 沖縄 若年性認知症の父を支えた経験から、ケアをする子に向けて「一人で抱え込まないで」と語る大橋尚也さん(中央)=4日、南風原町の県医師会館
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉陽 拓也

 子育て世帯の親が若年性認知症や病気になった家庭の子ども支援を考える「ヤングケアラーについて学ぶ 親が若年性認知症になったらどうする?」が4日、南風原町の県医師会館であった。支援者らが多職種の連携により子どもが安心して相談できる居場所や人間関係を構築できる環境づくりについて報告した。

 一般社団法人ケアラーワークスの田中悠美子代表理事は、高齢社会を背景に家庭の問題が複雑、複合化する中、ケアをする側への法的支援がないと指摘。子どものSOSも見逃さないためには「家族全体を支える視点を持つことが重要」と説いた。また、子どもが話せる人やタイミングはさまざまなため、学校や行政の窓口、医療・福祉施設など「ここだったら話してもいい環境づくりが大事」と述べた。

 中学生の頃から若年性認知症の父を支えた大橋尚也さん(29)=東京都多摩市=は、当事者に向けて「一人で抱え込まないで。周囲の人は心配するけど無理に話さなくてもいい。けど、つらくなった時に逃げ道や居場所があるといい」と語った。

 家庭の事情で大学受験の選択肢が限られる中、教諭との個人面談で「やる気あるなら借金してやってみろ」と無理解な発言を受けたことで心を閉ざした経験を紹介。一方、過干渉や押しつけも当事者が支援者から距離を置く要因になるとして、「先生や友人など縦や横の人間関係だけでなく、いつも気に掛けてくれる近所の人など『ななめの人間関係』もある」と説明し、適度な距離感で寄り添う支援のあり方を強調した。

 県の若年性認知症支援コーディネーター安次富麻紀さんは、当事者家庭の子どもに対する支援介入が困難だったり、学業を諦めてしまったりした事例を報告し、支援制度の拡充を訴えた。

 (嘉陽拓也)