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琉球遺骨、研究材料へ懸念「埋葬必要」 今帰仁村教委に働きかけへ 原告、弁護団が報告集会


琉球遺骨、研究材料へ懸念「埋葬必要」 今帰仁村教委に働きかけへ 原告、弁護団が報告集会 大阪高裁判決など2件の裁判の意義と今後の展望を探った琉球民族遺骨返還請求訴訟判決の報告集会=3日、那覇市の県立博物館・美術館
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 琉球民族遺骨返還請求訴訟判決の報告集会が3日、那覇市の県立博物館・美術館で開かれた。昭和初期に旧京都帝国大学(京都大)の研究者によって、今帰仁村の風葬墓「百按司(むむじゃな)墓」から持ち出された琉球遺骨の返還を求める同訴訟の控訴審判決と、県教育委員会に関連文書の開示を求めた訴訟の計2件を踏まえ、今後の活動の方向性を探った。

 台湾大から県教委を介して今帰仁村教育委員会に移管された、同村由来とされる人骨21体について、弁護団や来場者から「研究材料」として扱われる懸念が提起され、人骨を埋葬するよう今帰仁村教委へ働きかける必要性を確認した。

 集会は同訴訟全国連絡会が主催した。約50人が参加し、原告と弁護団が一連の訴訟の意義を語った。原告は松島泰勝さん、亀谷正子さん、金城実さんが登壇した。

 弁護団の丹羽雅雄弁護士は控訴審判決の付言で、日本人類学会から提出された書面について「重きを置くことが相当とは思われない」とした記述に着目。丹羽弁護士は「人類学会は(この案件の)利害関係者ではない。遺骨を研究(材料)から外せと言っている」と指摘した。

 原告の金城さんは控訴審の事実認定で、琉球民族が「先住民族」と言及された点について「今後、われわれは堂々と先住民族だと使える。大変喜ばしい」と話した。 (高江洲洋子)