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「自分を好きに」忘れず 就労継続支援B型みらいく 山根厚子さん<てぃーだ>


「自分を好きに」忘れず 就労継続支援B型みらいく 山根厚子さん<てぃーだ> かぎ針の編み物に挑戦中の山根厚子さん=4日、那覇市三原の就労継続支援B型「みらいく」
この記事を書いた人 Avatar photo 渡真利 優人

 那覇市三原の閑静な住宅街にある一軒家。2階に上がり、廊下を進むとテーブルが並べられた畳間が広がる。就労継続支援B型「みらいく」の山根厚子さん(55)=同市=は、他の利用者とともに、シークヮーサーゼリーのラベル貼りをする。

 みらいくは2023年5月に設立されたばかりの事業所。企業の委託を受け、シークヮーサージャムやマンゴーゼリーのラベル貼りをしている。

 双極性障がいがある山根さんが同事業所に通所し始めたのは23年12月。以前は系列のA型事業所に通所し、老人ホームに入居している利用者の衣類洗濯などをしていた。3年間ほど勤務した後、体調を崩し、みらいくに移った。

 ラベル貼りでは「中心線がないので縦横を合わせるのが難しい。集中力がいる」と語る。事業所内では余暇活動としてeスポーツやコースター作りがあるが、山根さんはかぎ針の編み物とレザーのサコッシュ(小物入れのバッグ)作りにも挑戦している。

 心が不安定な状態を繰り返した山根さん。自分を見つめ直すきっかけを与えてくれたのが名誉理事の故儀間真一郎さんだった。「『自分のことを好きになれ』という言葉をかけてくれた。今でも忘れられない」と涙ぐむ。

 サービス管理責任者の石上末子さんは「面倒見がいいお母さんのような存在」と気配りの良さをほめる。

 事業所には儀間さんが生前描いた竜の絵画が飾られている。力強い白黒タッチ。「そういえば今年は辰年(たつどし)だね」。そう言って絵を見つめた。

 (渡真利優人)