子ども時代に、年齢に見合わない家事や介護に追われた千葉県柏市の元ヤングケアラーが、同じ境遇の若者が集えるオンライン会合を開いている。自身の過酷な体験から、心に傷を抱えたり悩んだりする人たちにとって「緩くつながり、もやもやを晴らし安心できる場にしたい」。今年もヤングケアラーや経験者に寄り添い、励ます日々が続く。
「常に相手の顔色をうかがってしまう」「自分の意見、言えないよね」。柏市のNPO法人「ケアラーネットみちくさ」のオンライン会合。2022年9月の初回、元ヤングケアラー約10人が社会に出てからの苦悩を打ち明け、助言し合った。以来、おおむね2カ月おきに開催する。
みちくさを運営する布川潤さん(27)は小学校高学年の時、実家に戻って祖母を介護していた母がうつ病になった。離れて暮らす母の元へ2年ほど通い、感情面や身の回りをサポートした。「ふさぎこんだ母を笑わせるのが自分の仕事でした」
母の病が同級生に知られ、学校でいじめの対象になった。バケツの水をかけられても、先生は助けてくれなかった。仕事の傍ら母に代わり家事をこなす父も忙しく、余裕がない。誰にも話せず、我慢し続けた。
高校卒業後、飲食業などを経て、病状が改善した母が立ち上げたみちくさで手伝い始める。家族らを介護する人を激励する母の様子を見て「自分も同じ立場の若者を支えよう」と決めた。
オンライン会合の参加者からは「将来を明るく考えられるようになった」との感想が寄せられた。現役のヤングケアラーから進路相談の申し出もあり、今の活動に手応えを感じる。
政府はヤングケアラー支援に力を入れる。「できるだけ対象年代を広げ、手を差し伸べてほしい」。布川さんはそう願う。会合の問い合わせはNPO法人運営のカフェ「みちくさ亭」、電話04(7138)5032。
(共同通信)