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避難所の性被害を防ごう 能登地震 NPO代表指摘 運営側に女性や専用空間を


避難所の性被害を防ごう 能登地震 NPO代表指摘 運営側に女性や専用空間を 「ウィメンズネット・こうべ」の正井礼子代表理事=11日、神戸市
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信社

 能登半島地震ではプライバシーが制限される避難生活が続き、女性らへの性被害を懸念する声が出ている。実際に、一部の避難所では配慮が行き届いていない場所も。阪神大震災を経験したNPO法人「ウィメンズネット・こうべ」(神戸市)の代表理事正井礼子さん(74)は過去の被害事例を踏まえ「運営側に女性が入るなどして誰もが安心できる環境づくりが必要だ」と指摘している。

 「大部屋で男女一緒に雑魚寝。仕切りがなくプライバシーはない状況で、トイレで着替えをしている」。石川県輪島市の女性(24)が15日までに取材に語ったある避難所の現状だ。「見守りの職員もいるが、1人で不用意に歩き回らないように必ず家族と一緒に行動している」といい、気が抜けない日々が続いている。

 正井さんは、今回の地震で考えられる対策として(1)授乳や着替えができる女性専用のスペースを設ける(2)トイレは男女別で暗がりを避けて設置する(3)性被害だけでなく多様な悩みを話せる相談室を置く(4)広く需要を把握するため避難所の運営に女性が3割以上入る―といった例を挙げる。

 「災害のたびに同じ事を繰り返してはいけない」。正井さんの原点は、1995年の阪神大震災だ。女性支援をする中で仮設住宅に暮らすシングルマザーの女性に「生活を支援してくれていた男性に性交渉を強要された。そこでしか生きていけない時に周囲の誰にも相談できなかった」と打ち明けられた。

 東日本大震災の際には、女性が避難所などで受けた性被害の実態を調査し、約30人から性行為の強要やわいせつ行為、のぞきなどの報告を受けた。加害者との関係性は知人や顔見知りが多く、避難所のリーダー的な立場の男性から「見返り」として性交を要求された事例もあった。

 能登半島地震の被災地でも同じ苦しみを味わう人が出ないように。正井さんは「何も起きないのが一番いい。でも、もし被害を知った人はまずは話を信じて寄り添ってあげてほしい」と話した。

(共同通信)