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女性自ら発信続けて うないフェス誕生秘話語る シアタードーナツ


女性自ら発信続けて うないフェス誕生秘話語る シアタードーナツ シアタードーナツ代表の宮島真一さん(左)と「うないフェスティバル」について語る高里鈴代さん=14日、沖縄市のシアタードーナツ
この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬

 政治に女性の声を届けようと活動する「フェミブリッジ沖縄」は14日、沖縄市のシアタードーナツでドキュメンタリー映画「燃えあがる女性記者たち」のアフタートークを開催した。8日の国際女性デーにちなみ、沖縄の女性たちが声を上げてきた歴史を学ぼうと企画。ゲストには1985年に開かれた「うないフェスティバル」の実行委員会座長を務めた高里鈴代さんを招いた。約40年前に実現した「燃えあがった女性たちの12時間」の誕生秘話は、女性自ら発信することの大切さを現代に伝えている。

 85年は「国際婦人の10年」の最終年で、ナイロビで開かれた世界女性会議に沖縄からも参加し、女性を取り巻く労働や売春問題を発信した。

 ナイロビの熱気が冷めぬ中、ラジオ沖縄の開局25周年にあたり「女性がつくるラジオ12時間スペシャル」という番組が企画された。同局のディレクターだった源啓美さんや、当時那覇市婦人相談員だった高里さん、歴史家の宮城晴美さんら6人で準備委員会を発足。女性100人のメッセージ収録のほか、講演会やコンサートも含めたフェスティバルへと企画が広がった。

 実行委に「男性を入れた方がいい」との意見があったが、これに高里さんは「これまでの歴史で男性が物事を決める時に女性がいないとまとまらないとは誰も考えなかったのでは。ここは女性に任せてほしいと説得した」と明かした。

 「うない」は沖縄の言葉で女性、古代沖縄では「女きょうだい」を意味し、現代の女性たちのつながり「シスターフッド」にも通じる。女性がつながり語りながら新しい時代を開くなどの願いを込めたが、報道発表されると、「古語を勝手にフェスティバルにするな」「沖縄の女性らしくて良い」と賛否が巻き起こった。

 当時の報告書によると、実行委は43団体で構成。会議では団体の歴史の長短や規模によらず発言は対等で、出席者は団体に判断を持ち帰らずその場で意見を出し合って決定する、などのルールで運営した。

 結果は「大成功だった」。高里さんは「立場が違っても発信を続けていかないといけない。私たちは長い歴史の中に生きているというところに目を向けようと話した」と振り返った。

 (慶田城七瀬)