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クリニックでの治療 投薬と採血の管理可能<じぶんごとで考えよう HIV/エイズ>25


クリニックでの治療 投薬と採血の管理可能<じぶんごとで考えよう HIV/エイズ>25
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 私は1994年に琉球大学を卒業後、母校の第一内科に入局し、県内の病院で、呼吸器内科の診療を行いました。医師30年目を機に県立病院を退職し、2023年夏にうるま市で呼吸器内科クリニックを開業しました。今は症状が落ち着いているHIV患者の診療などを行っています。

 大学病院では肺がん患者の診療をしていて、感染症の分野は特に詳しくなかったのですが、2007年に赴任した県立病院では、内科・呼吸器内科に加えて、著しく免疫能が低下したHIV患者も担当するようになりました。

 当時は、HIV関連の文献を調べると、予後不良(助からない)と書いてあるものもあり、自分の担当している患者も厳しいのではないかと、青くなりました。上司に相談すると、「その文献は古い。今はこういう方法がある」と指導を受けました。国立の医療機関が作成したハンドブックを参考にして治療すると、実際に病状が良くなり、無事に退院となりました。その後、数カ月に1回通院して、採血と服薬だけで落ち着いた状態になるケースを経験し、治療法の進歩を実感しました。

 現在は、HIV感染で命を落とす患者はほとんど居なくなりました。琉球大学病院をはじめとするエイズ治療中核拠点病院には、最新の治療を行った結果、病状が落ち着いている通院患者が増加しています。このことから、病状が落ち着いたHIV患者であれば、クリニックで投薬と採血の管理が可能と考えました。

 HIVの診療にあたっては、免疫に関する自立支援医療機関の指定が必要なため、感染症科の医師に相談したところ、県庁の担当者をご紹介いただき、たいへんスムーズに手続きができました。職員の研修も無料で実施していただきました。医療者の感染対策についても、行政のご支援を得て充実させています。

 数名のHIV患者について、既に拠点病院からの紹介を受けており、順次、来院していただいております。クリニックでは土曜日の診療を行っていることが、患者にとってのメリットになると考えています。病状が悪化した場合は、HIV治療中核拠点病院や基幹病院と連携して対応できます。現在通院している病院の紹介状が必要になりますが、今後はクリニックへの通院も選択肢にしていただけるのではないかと思います。

(東正人、あずま呼吸器内科クリニック院長)