外部執筆者 県感染症診療ネットワークコーディネーターは、2018年に琉球大学病院に配置され、主に、HIV陽性者の療養や生活に関する相談・支援、出前研修等を行っています。
この数年間の変化として、新型コロナウイルス感染症に伴う保健所休止の影響に伴い、HIV陽性者に限らず、感染不安を抱えた方からも相談がくるようになりました。2023年4月～24年3月までの1年間で検査に関する相談は100件を超えます。相談内容はさまざまです。
「検査を受けたいけど電話は…ウェブ上で予約がとれないのか」「日中、仕事（授業）中に電話をかけるのは難しく、つながった時にはすでに予約がうまっている」等、検査を受ける意思があるにも関わらず、検査へつながることができない方が多くいることが確認されています。また21年～23年に厚労科研事業で実施した調査では、ウェブ上の検査専用予約サイトへのアクセスと検査予約IDを発行した時間帯は午後5時以降が6割を占めていました。
こうしたことから、現在の県内のHIV検査機会は十分とは言いにくく、24時間いつでも予約が取れるオンラインの予約システムが必要だと分かってきました。そこで、23年2月、琉球大学病院をはじめとする、県内でHIV診療を担っている医療機関で構成する沖縄HIV臨床カンファレンスは、オンラインの予約システムを構築するため、HIV検査の機会拡充に向けた取り組みに対する寄付プログラムへ応募し、この度、授与が決定しました。現在、6月1日からの稼働へ向け、最終段階に入っています。
本予約システムは、県内でHIV検査に協力している医療機関のうち、賛同いただけた各機関のHIV検査の空き状況が確認でき、24時間いつでも本サイトから予約が可能です。医療機関での検査は行政からの補助等がないため、基本的には実費となりますが、症状があれば保険適用も可能です（自費診療の場合、5千円～1万円程度。医療機関ごとに料金が異なります）。
その他、各機関によって時間や曜日、匿名対応等の違いがあり、それらも本サイト上で確認ができるようになっています。LINE登録していただければ、検査キャンペーン等の情報を受け取ることも可能です。
HIV検査は特別な人が受けるものでも、特別な検査でもありません。今回、私たちが立ち上げたオンライン予約システムによって県民の皆さまにとってHIV検査がより身近なものとなり、また「じぶんごと」として捉える一助となればと思います。
（新里尚美、琉球大学病院第一内科・県感染症診療ネットワークコーディネーター）
