〈ドクターのゆんたくひんたく〉184 ED(勃起障害) 病気予兆の可能性も


〈ドクターのゆんたくひんたく〉184 ED(勃起障害) 病気予兆の可能性も
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 突然大きな病気になる前に、体からサインが出ていることがよくあります。厚生労働省のまとめによると、驚くべきことに沖縄県はメタボリック症候群(メタボ)の割合が13年前から全国で1位です。メタボは動脈硬化を促して、大きな病気の代表である心筋梗塞や脳卒中などを起こしやすくするため、今後それらの病気が増えてくるかもしれません。今回は、心筋梗塞などの予兆として男性だけに表れる体からのサインを紹介します。

 性行為の際に満足な勃起が得られない、または維持できないことはありますか? そのような症状はED(勃起障害/勃起不全)と言います。海外の研究によると、EDになると平均3年以内に心筋梗塞を起こすことが多く、その後に脳卒中にもなりやすくなると言われています。

 その背景に、EDの原因と血管の細さが関係しています。EDの原因は、うつ病などの精神的な理由や内服薬以外に、加齢や喫煙、糖尿病、高血圧、肥満などによる動脈硬化が挙げられます。また、勃起に重要な血管は心臓や脳に血液を送る血管よりもかなり細いです。細い血管の方が早く動脈硬化の影響を受けるため、EDは心筋梗塞などより早く生じるという説が有名です。もちろん、EDに関係なく心筋梗塞や脳卒中になる場合もあります。

 しかし、仮にEDになったとしても治療することができます。治療法として薬による対症療法が知られていますが、その他に、体重を減らすことや、週3回以上の有酸素運動、動脈硬化の原因の治療など、EDの根本原因の治療をすることでも徐々に改善することが分かっています。そのため、EDの根本原因の治療をすることは、結果的に同様の原因で起こる心筋梗塞や脳卒中の予防にもつながると考えられます。

 EDはプライベートな問題ですが、決して恥じるべき問題ではなく、医学的にやや深刻な原因が隠れているサインかもしれません。気になる場合は放置せずに、かかりつけの内科や泌尿器科で相談しましょう。ちなみにネットでEDの対症療法の治療薬が売っていますが、医療機関で購入したものでない場合は偽物が混ざっていることもありますので、その点も注意しましょう。

 (秋元隆宏、国立療養所沖縄愛楽園 泌尿器科)