〈ドクターのゆんたくひんたく〉187 骨折 ロコモトレで転倒予防を


〈ドクターのゆんたくひんたく〉187 骨折 ロコモトレで転倒予防を
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 「イタっ!」。上腕骨近位部骨折は年齢が高くなると、転んだ時に肩をぶつけるなどして起こりやすい骨折です。腕の付け根、肩の部分の骨折のことで、成人の骨折の中で約5%の割合で起こります。

 若い人はスポーツや交通事故などの強い力がかかることで起こる場合が多いですが、高齢者は小さな力でも折れてしまう可能性があります。その頻度は年々増えており、特に女性は男性の2倍多くで発生します。

 骨折のズレが小さい場合、手術が必要ないことが多いですが、ズレが大きい場合は手術になることがあります。手術の必要性は年齢、既往歴などの健康状態や日常生活のレベルにもよりますが、現在は骨折した人の約4分の1が手術を受けています。ただし、手術を受けたからすぐに回復するわけではなく、リハビリテーションが重要です。それでも骨折前の状態に完全に戻るのは難しいため、骨折を予防することが非常に大切になります。

 高齢者が骨折する主な原因は、骨が脆くなる骨粗しょう症や、下半身の力が弱まり転びやすくなることが考えられ、それらを防ぐことが必要です。

 骨粗しょう症を予防するためには、(1)ウォーキングや筋力トレーニングなどで骨に刺激を与える運動をすること(2)日光を浴びること(3)ビタミンDやカルシウムを摂取することが挙げられます。沖縄のように日差しが強い場所では日光浴には気を使う必要はあまりありませんが、特にビタミンDは食事だけでは不足しがちで、サプリメントや薬で補う必要があります。

 転倒を予防するためには、ロコモトレーニングがおすすめとされています。これには「片足立ち」と「スクワット」の2種類のトレーニングがあります。毎日コツコツと行うことが大切ですが、最初は転倒防止のために、机や壁に手をついて行ってください。

 骨粗しょう症の心配がある方は、かかりつけの医師や整形外科に相談してみることをお勧めします。健康で長生きするために、骨折を予防し元気に過ごしましょう。

(呉屋五十八、豊見城中央病院 整形外科)