〈ドクターのゆんたくひんたく〉189 子宮頸がん ワクチンと検診で予防を


〈ドクターのゆんたくひんたく〉189 子宮頸がん ワクチンと検診で予防を
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 子宮頸がんは20~30歳代女性のがんの中で最も多いものの一つです。日本では年間約1万1千人が新たに子宮頸がんと診断され、約3千人が命を落としています。

 子宮頸がんの発症年齢は出産年齢と重なります。子宮頸がんになると、妊娠や出産に影響が出る可能性があります。子宮頸がんの初期であれば、子宮を残して子宮頸部(けいぶ)のみを手術する方法がありますが、妊娠しにくくなったり早産になったりする可能性があります。がんが進行すると子宮全体を摘出する手術が必要になります。子宮頸がんの95%以上はヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が原因です。HPVは感染しやすく、性行為経験を有する人の大半が人生で一度は感染します。感染しても自然に排除されることもありますが、排除されない場合は感染が持続し子宮頸部が少しずつがんへと変化していきます。

 子宮頸がんは、予防が可能な数少ないがんの一つです。予防方法はワクチン接種によるHPV感染予防と定期的な子宮頸がん検診による早期発見です。

 HPVワクチンはその安全性と有効性が世界的に認められており、子宮頸がんの予防方法として日本を含む多くの国で予防接種プログラムに導入されています。日本では、2013年に定期接種を開始した後、22年まで積極的なワクチン接種の差し控えがありました。そのため近年は日本における子宮頸がん罹患(りかん)率・死亡率はともに諸外国より高くなっています。

 日本では22年4月から小学校6年生から高校1年生相当の女性を対象に9価HPVワクチンの定期接種を再開しました。また、定期接種の機会がなかった1997年4月2日から2008年4月1日生まれの女性に対して追加接種を行っており、3回接種で約10万円相当を無料(公費)で接種できます。この機会は25年3月末で終了するため、3回接種を終了するためには24年9月末までに接種を開始する必要があります。ワクチン接種と定期検診で、大切な自分の体を守りましょう。

(小椋奈緒、県立南部医療センター・こども医療センター 小児科)