アトピー性皮膚炎のかゆみを軽減し、快適に眠れるようになってほしい―。自身もアトピーに悩む金城晴香さん(37)=中城村=がこのほど、アトピーの人に向けた肌に優しいパジャマを開発した。2年前、出産を機に症状が悪化。全身が燃えるようなかゆみに襲われた。長時間着続けるパジャマは肌への影響が大きく、眠りの質も左右する。アトピーのつらさに寄り添うパジャマの必要性を痛感し、開発を決意した。
今月からは、より多くの人にパジャマを届ける準備資金を募るためクラウドファンディング(CF)も開始。「私と同じようにアトピーに悩み、苦しんでいる人たちに届けたい」と思いを込め活動する。
もともとアトピー体質で、薬を使いながら症状をコントロールしていた。2022年、長男(2)の出産を機に悪化。皮膚が真っ赤になり、激しいかゆみに襲われた。かきむしったところから浸出液が出て、衣服は血で汚れた。乾燥した肌から白い粉が吹いた。
着替えるのも、お風呂に入るのも、何をするにも体がかゆくて痛い。紫外線や室温の変化も体に負担がかかるため、外に出られなくなった。本来なら生まれたばかりの子どもを思う存分抱きしめ、スキンシップをしたい時期。だが、かき壊して傷だらけの肌で赤ちゃんに触れるのが怖かった。「私の体はどうなっちゃうんだろう。どうやって生きていけばいいんだろう」。不安でいっぱいになった。
症状が改善する見込みがなく、絶望感に襲われる日々。かゆみがひどいと眠りの質が低下し、自律神経が乱れ、ますますアトピーが悪化すると感じていた。大手衣類メーカーの敏感肌用のパジャマなどを何種類も試したが、縫い目が肌に当たってかゆくなったり、洗濯するとけばだったりと、納得のいくものが見つからなかった。「肌のことだけを考えた、私が欲しいと思うパジャマを作ろう」。アパレル業界は未経験だったが、挑戦することにした。
生地はオリジナルのオーガニックコットンを取り扱う「avanti」(東京都)から仕入れ、縫製工房「MAARU FACTORY」(宜野湾市)に仕立てを依頼した。無染色で脱色剤は使わず、何度洗濯しても着心地が変わらない素材を選んだ。肌に負担がかかる縫い代は表側にし、手先や首回りの傷にクーラーの風が当たると痛くなるため、しっかりと保護できるデザインにした。
大量生産・大量廃棄が環境破壊の原因の一つとされるアパレル業界の問題にも配慮し、大量生産を行わず、循環できる生地を使用して化学的な工程を加えないことで、古くなっても資源に循環できる製品に仕上げた。
創業スクールにも通い勉強を重ね、24年3月にナイトウェアブランド「Rèmorni(リモーニ)」を設立。7月にパジャマ「想衣(うむい)」が完成した。今後は数量限定で、MとLの2サイズをインターネットで販売予定。
31日まで実施するCFは、肌が敏感になりやすい妊婦や子どもに向けた商品開発などに役立てる予定だ。支援するとCF限定で通常価格3万円のパジャマを5~10%引きで購入できる。
「アトピーの人のためのパジャマがあると知るだけでも『苦しんでいるのは自分だけじゃないんだ』と救われる人がいるはず。自分と同じようなつらさを感じている人を、とにかく助けたいんです」。笑顔で力強く語った。
問い合わせはメール ha0405ru@gmail.comまで。CFの詳細は「クラファン For Good パジャマ」で検索。
(嶋岡すみれ)