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アスベスト除去に公的補助を 大半の市町村に制度なく、議員が県に対象拡大求める 沖縄県議会


アスベスト除去に公的補助を 大半の市町村に制度なく、議員が県に対象拡大求める 沖縄県議会 シートで覆い、壁面のアスベストを研削する作業 (神里工業提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 宮沢 之祐

 物を解体する際のアスベスト(石綿)除去費が法規制の強化によって高騰した一方、公的補助が実質ない現状について、県議会一般質問で松下美智子議員(公明)が、非飛散性アスベスト(レベル3)を補助対象とするように求めた。

 県建築指導課によると、民間建築物の飛散性の高い吹き付けアスベストなど(レベル1相当)の除去について除去費の3分の1以内を補助する制度がある。ただし市町村の補助を受けることが条件だが、大半の市町村には補助制度がない。

 利用実績は乏しく、松下議員に実績を問われ、前川智宏土木建築部長はこの20年間で民間への補助はホテルや集会施設など6件と答弁した。同課によると、民間住宅でレベル1のアスベストが見つかることが多くないことも背景とみられる。

 一方、除去費が高騰したのは21年の大気汚染防止法改正でレベル3を含む全てのアスベスト含有建材が規制対象となったことによる。外壁のアスベスト含有が判明すると工費も工期も数倍になったが、補助はない。

 現在の補助制度は国土交通省が所管し、吹き付けアスベストなどを対象とする建築基準法に基づく。大気汚染防止法の強化に応じた補助の拡大には結びついていない。

 (宮沢之祐)