【東】2017年10月、東村高江の民間牧草地に米海兵隊普天間飛行場所属の大型輸送ヘリコプターCH53Eが不時着し炎上した事故から11日で3年が経過した。事故は十分な捜査や原因が特定されないまま容疑者不詳で書類送検され、9日には不起訴処分が決まった。高江の住民は「事故の原因は説明されることなく、訓練は続いている。再発への不安は消えないままだ」と訴える。
高江で消防団員を務める金城洋亮(ようすけ)さん(32)は事故当時、炎上するヘリの消火活動に当たった一人だ。「周りに火が燃え広がって山火事にならないよう、早く火を消そうと必死だった」と話す。しかし、消火を終え冷静になった時、「いつどこに(ヘリが)落ちてもおかしくない」と、事故への恐怖が押し寄せてきた。事故後は「ヘリの音が聞こえるだけでドキドキした」という。
事故現場では放射能汚染の可能性も指摘され、金城さんも検査を受けた。身体に影響はなかったが「(放射能の)話を聞いて不安になった。まさかそんな検査を受けないといけないなんて」と振り返る。
事故から3年が経過したが、原因は特定されず、住民にも説明されないまま捜査は終結した。金城さんは「米軍や防衛局が地域と情報を共有しなければ不安は解消されない」と語る。
事故が発生した牧草地を所有する西銘晃さん(67)は「捜査ができなかったのは米軍の同意が必要だからだ。他国では現地当局が主体的に捜査しているのに、なぜ日本だけできないのか」と疑問を投げ掛ける。住民の不安は解消されないまま、集落の上空では現在も夜遅くまで訓練が行われている。
(下地陽南乃)