有料

「台風が来ても大丈夫な街作りを」 CO2ゼロの沖縄へ 市民が未来像を語り合う 政策提言へ島づくり会議初会合


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
2050年にCO2排出ゼロを実現するために市民ができることを議論する参加者たち=26日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館

 全国各地で記録的な猛暑が続き、台風や豪雨などによる災害被害が発生し、地球温暖化や二酸化炭素(CO2)排出について市民の関心が高まっている。県内では26日、CO2の排出を抑えて持続可能なまちづくりについて考える「CO2ゼロの豊かな島づくり会議」第1回会合が那覇市で開かれた。欧州各国で開かれている市民が気候変動についての政策提言をまとめる「気候変動市民会議」をモデルに、沖縄版の実施を目指す取り組みだ。

 公募により集まった10~60代の計19人の参加者は「自分で使う分のエネルギーを自分でつくれるようにする」「台風が来ても大丈夫な街づくりを」など将来像を語り、政策提言に向けて一歩踏み出した。

 国は2050年にCO2排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)目標を掲げている。会議は、計4回にわたり建築や交通、まちづくりまで、テーマを変えて開催する。地球温暖化防止活動推進センター(OKICA)の主催。参加者らが議論したアイデアやビジョンは報告書にまとめ、県内市町村に配布する。

 この日はエネルギーをテーマに理解を深めた。

 冒頭の話題提供で、エネルギーラボ沖縄代表の宮城康智さんは、県内で電力に使われる再生可能エネルギーが約6%にとどまることなどを紹介。琉球大理学部の中川鉄水准教授は、将来のためにエネルギーをためるには「太陽光や風力などのほかに選択肢を増やすことが必要だが、技術革新は市民の理解がなければ進まない」と話した。

 その後グループ討論では、2050年までに目指す街の姿や、5年後までに具体的にできることを考えた。エネルギーについては「普段から学ぶ場や情報が少ない」という意見が多く聞かれた。8月初旬に沖縄各地で台風6号の接近による停電や断水が続いたこともあり、「コミュニティー単位で管理できる再生エネルギーの蓄電システムがあると良いのでは」などの意見も出た。

 琉球大農学部2年の三藤美桜さん(19)は学内の掲示板で開催を知り応募したという。普段は森林や生態系について学んでいる三藤さんは「CO2やエネルギーについて専門家の知見を聞けて良かった。次回に向けて予習も頑張りたい」と意欲を見せた。

(慶田城七瀬)