沖縄市で開かれたFIBAバスケットボールワールドカップ2023で、アジア最上位となり48年ぶりに自力での五輪切符をつかんだ男子バスケ日本代表。激戦を乗り切った選手たちの「勝負飯」の一つに沖縄の〝ソウルフード〟があった。北谷町宮城にあるタコス専門店「Tacos―ya(タコス屋)北谷店」には、主将の富樫勇樹選手や渡辺雄太選手らが何度も訪れ、タコスやタコライスに舌鼓を打った。比江島慎選手は期間中に3回来店。「推し店」の存在は躍進の原動力になったかもしれない。
代表メンバーは8月22日に来県、今月4日に沖縄を離れた。SNSやニュースを見ると、期間中は沖縄そばやステーキも食べたようだが、特筆すべきはタコスだ。タコス屋への初来店は初戦前日の8月24日昼過ぎ。レンタル自転車に乗った富樫、渡辺、比江島、原修太、川真田紘也の5選手がふらっと入ってきた。
店長の有銘一盛さん(28)によると、富樫選手がタコス好きで、ネットで検索して連れてきた様子だったという。渡辺選手はタコライスを食べて「サイコー」と笑顔を見せ、他の4人はタコスを3、4個食べて「うまい」「沖縄でしか食べられない」と喜んだ。
タコス屋は開業33年。ほどよい歯ごたえの皮にジューシーなタコミートを挟んだタコス、タコライスが愛されている地元の人気店で、日本代表の胃袋もつかんだ。
翌25日、夜にドイツ戦を控える中、原選手が電話でタコスを注文し、テイクアウト。旧盆中の「ウンケー(8月28日)かウークイ(同30日)」には比江島選手が一人で来店し、持ち帰りで買っていった。比江島選手は同31日のベネズエラ戦で大活躍した。
大一番のカボベルデ戦を翌日に控えた今月1日は富樫、渡辺、比江島の3選手に加え、馬場雄大選手が来店した。それぞれタコスとタコライスを食べていたといい、有銘さんは「最後だからか、いっぱい食べていた印象だった」と振り返る。
日本代表メンバーらは来店時、気さくに有銘さんらスタッフと談笑し、サインに応じ、ファンとも写真撮影していた。
有銘さんはNBAが好きで渡辺選手とのツーショット写真も撮ったが、少し悔やんでいることがある。「こんなに頑張って、感動をくれた。タコスはサービスすれば良かった」と残念がった。
(仲村良太)