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認知症「体験伝えたい」 子育て終え再び啓発活動 若年性アルツハイマー当事者 大城 勝史さん(48) 「県希望大使」任命 決意新た


認知症「体験伝えたい」 子育て終え再び啓発活動 若年性アルツハイマー当事者 大城 勝史さん(48) 「県希望大使」任命 決意新た 肌身離さずもつ日記の1ページ。「誰の言葉か忘れましたが、毎日見てます」と語る、大城勝史さんにとって大事な言葉。
この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報朝刊

 若年性アルツハイマーの当事者として2016年から19年に講演などを通して啓発活動に尽力してきた大城勝史さん(48)=豊見城市=が、県が新たに設けた「県認知症希望大使」の1人に選ばれた。30代のころから人の顔や地図が覚えられない症状に悩み苦しみながらも、周囲の理解と支援で活動してきたが、19年からは子育てに専念していた。子どもが成長した今だからこそと大使を引き受けたという。体調に波はあるものの「私の過去の不安や苦しみ、葛藤に共感し前を向いてくれる人がいるなら」と、もう一度、人前に立つことを決めた。
 取材を受けるのは数年ぶり。子どもと積み重ねた思い出は忘れたものもあるが、日記をめくれば充実した日々を語ることができる。病気の進行で少し話すのが遅くなって自分の殻に閉じこもっていた時期もあったが、落ち着いた生活環境の中で「今の状態も受け入れられる自分がいる」と柔和な表情で語る。「でも、最初から笑顔でいられる人はいないよね」と振り返る。
 15年に若年性アルツハイマーと診断されるまで心身の不調を感じて医療機関を渡り歩いた。勤務する自動車販売会社では、業務や同僚の顔を覚えられなくなり自信をなくす日々。「当時のつらい記憶は今も消えない」
 治療しながら3児の父として踏ん張り、多くの出会いや職場の協力により、16年から講演活動を始めた。13年8月から書き続けてきた日記やメモを基に、17年には体験を書籍として発刊した。
 40歳で診断された若年性アルツハイマー病が苦しい思い出だけにならず、再び啓発活動ができるのも家族や勤務を続けている職場などの理解があったからこそだという。社会に理解を広げたいという情熱は変わらない。「誰かが動けば流れが変わる。だから自分が動かないと。昔からそう思っている」
 県は14日午後1時15分から浦添市のアイム・ユニバースてだこホールで「県認知症県民フォーラム」を開催する。大城さんを含む3人の当事者を「県認知症希望大使」に委嘱する。
 (嘉陽拓也)
 
記憶を記録に残すため、10年以上続けた日記を示す大城勝史さん。「共感して前向きになれる人が一人でもいるなら話していきたい」と語る=11日

肌身離さず持つ日記の1ページ。「誰の言葉か忘れましたが、毎日見てます」と語る、大城勝史さんにとって大事な言葉