有料

「孫に負けられない」宮城さん90歳、珠算7級に挑戦 戦争で失った学びの喜びを満喫 週2回のそろばん教室に夢中


「孫に負けられない」宮城さん90歳、珠算7級に挑戦 戦争で失った学びの喜びを満喫 週2回のそろばん教室に夢中 珠算検定7級の合格を目指す宮城藤子さん=15日、名護市のデイサービス喜福
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【名護】「絶対に合格したい」。名護市大東のデイサービス喜福に通う宮城藤子さん(90)は、全国珠算連盟検定試験の7級に合格するため、デイサービスで週2回開かれるそろばん教室で勉強を続けている。「いったんつまずくと、だめだと思ったりもするけど、解けたらやっぱりうれしい」と笑顔を見せる。

 宮城さんは1932年、南洋諸島のポナペに生まれた。戦争が終わって約1年後に家族と沖縄に引き揚げ、名護市の瀬喜田小学校に通い始めたが、家の畑仕事を手伝うために1~2カ月しか通えなかった。当時は、学校に通うほかの子どもらを見てうらやましく思ったという。

 約3年前からデイサービス喜福に通い始め、そろばん教室を楽しみにしている。「分からない問題はみんなと相談して解いている。また学校に通っているようで、とってもうれしい」と「学校生活」を謳歌(おうか)している様子だ。そろばんのおかげか物忘れもしないといい「頭がさえて健康にいいと思う。夢中になりすぎてそろばん以外のことを忘れてしまうことはたまにあるけど」と苦笑いした。

 宮城さんが挑戦する7級は、2桁のかけ算や4桁の割り算などが出題され、難易度が高くなるという。

 宮城さんは「難しさが全然違う。桁も増えるから合格できるか心配だけど、気持ち的には絶対に合格したい。小学生の孫にも(そろばんは)負けられない」と意欲を燃やし、今日もそろばんをはじいている。
  (金城大樹)